「キネマ旬報ベスト10」(キネジュン・ベストテン)の歴代の受賞作の一覧です。キネ旬ベストは、日本映画界の最高峰です。
2023年(2024年発表) | |
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部門 | 受賞者 |
作品賞 (ベストテン1位) |
「せかいのおきく」
(192点) <2位以下> 2位:「パーフェクト・デイズ」(188点) 3位:「ほかげ」(171点) 4位:「福田村事件」(144点) 5位:「月」(136点) 6位:「花腐し」(109点) 7位:「怪物」(98点) 8位:「ゴジラ-1.0」(91点) 9位:「君たちはどう生きるか」(78点) 10位:「春画先生」(75点) ※歴代の作品賞▼ |
主演男優賞 |
役所広司
「パーフェクト・デイズ」 <2位以下> 2位:鈴木良平 3位(同点で2人) 内野聖陽(せいよう) 松山ケンイチ 5位(同点で3人) 綾野剛 池松壮亮 光石研(みついし・けん) ※歴代の主演男優賞→ |
主演女優賞 |
趣里(しゅり)
「ほかげ」 <2位以下> 2位:杉咲花 3位(同点で2人) 菊地凛子 黒木華 5位:真木よう子 ※歴代の主演女優賞→ |
助演男優賞 |
磯村勇斗(はやと)
「月」「正欲」など <2位以下> 2位:宇崎竜童 3位:水道橋博士 4位(同点で7人) 柄本明 大泉洋 寛一郎 佐藤浩市 永山瑛太 三浦貴大 リリー・フランキー ※歴代の助演男優賞→ |
助演女優賞 |
二階堂ふみ
「月」 <2位以下> 2位:阿川佐和子 3位(同点で3人) 黒木華 さとうなほみ 趣里 ※歴代の助演女優賞→ |
監督賞 |
ビム・ベンダース
「パーフェクト・デイズ」 (9票) <2位以下> 2位:石井裕也(8票) 3位:阪本順治(6票) 4位:塚本晋也(4票) 5位:今泉力哉(3票) |
読者選出 日本映画1位 |
「Gメン」
(2万1049点) <2位以下> 2位:「福田村事件」(2万54点) 3位:「怪物」(1万3445点) 4位:「ゴジラ-1.0」(1万2315点) 5位:「月」(9847点) 6位:「正欲」(8323点) 7位:「愛にイナズマ」(7316点) 8位:「君たちはどう生きるか」(7109点) 9位:「市子」(6555点) 10位:「BAD LANDS(バッド・ランズ)」(6133点) |
読者選出 日本映画監督賞 |
瑠東東一郎(るとう・とういちろう)
「Gメン」 |
脚本賞 |
「せかいのおきく」
阪本順治 |
新人男優賞 |
塚尾桜雅(おうが)
「ほかげ」 <2位以下> 2位:柊木陽太(ひいらぎ・ひなた) 3位(同点で2人) アフロ 黒川想矢(そうや) 5位:池川侑希弥(ゆきや) |
新人女優賞 |
アイナ・ジ・エンド
「キリエのうた」 <2位以下> 2位:山﨑七海 3位:花瀬琴音 4位(同点で3人) 呉城(くれしろ)久美 サリngROCK(サリングロック) 當真(とうま)あみ |
文化映画1位 |
「キャメラを持った男たち 関東大震災を撮る」
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外国映画1位 |
「TAR(ター)」
<2位以下> 2位:「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」 3位:「枯れ葉」 4位:「EO イーオー」 5位:「フェイブルマンズ」 6位:「イニシェリン島の精霊」 7位:「別れる決心」 8位:「エンパイア・オブ・ライト」 9位:「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 10位:「ウーマン・トーキング 私たちの選択」 |
読者選出 外国映画1位 |
「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
<2位以下> 2位:「TAR(ター)」 3位:「フェイブルマンズ」 4位:「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」 5位:「イニシェリン島の精霊」 6位:「枯れ葉」 7位:「バービー」 8位:「エンパイア・オブ・ライト」 9位:「トリとロキタ」 10位:「ザ・ホエール」 |
外国映画監督賞 |
トッド・フィールド 「TAR(ター)」 |
<授賞式▼>
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2022年(2023年発表) | |
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部門 | 受賞者 |
作品賞 (ベストテン1位) |
「ケイコ 目を澄(す)ませて」
監督:三宅唱(しょう) ※耳の聞こえない女性ボクサーの挑戦と葛藤、そして周囲との触れ合いを追う日常生活劇。実在のボクサーの自伝が原案になっている。 派手な展開や過剰演出に頼ることなく、登場人物たちと誠実に向き合い、観客に生きる勇気を与える。 16ミリフィルム撮影による素朴で人間味漂うショットの連続と、静寂シーンの中で響く数々の「音」により、唯一無二の没入型シネマとなった。まさに研ぎ澄まされた日本的「引き算の美学」の好例。 海外でも高い評価を受け、世界中の映画祭から引っ張りだこになった。 【他の受賞歴】 ・毎日映画コンクール【5冠】作品賞、監督賞、主演女優賞(岸井ゆきの)、撮影賞、録音賞 ・高崎映画祭 作品賞&主演女優賞(岸井ゆきの) ・雑誌「映画芸術」年間ベスト1位 ・ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門ノミネート ・スペイン バレンシア国際映画祭ノミネート ・ベルギー ヘント国際映画祭ノミネート <作品賞ベスト2位以下> 2位:「ある男」 3位:「夜明けまでバス停で」 4位:「こちらあみ子」 5位:「冬薔薇(そうび)」 6位(同点で3本) 「PLAN 75」 「土を喰らう12ヵ月 」 「ハケンアニメ」 9位(同点で2本) 「さがす」 「千夜、一夜 」 ※歴代の作品賞▼ |
主演男優賞 |
沢田研二
「土を喰らう十二ヵ月」 (配給:日活) 【他の映画賞】 ・毎日映画コンクール <2位以下> 2位:妻夫木(つまぶき)聡 3位(同点で5人) 稲垣吾郎 松坂桃李 豊川悦司 渡辺紘文 窪田正孝 ※歴代の主演男優賞→ |
主演女優賞 |
岸井ゆきの
「ケイコ 目を澄ませて」 (配給:ハピネットファントム) ※聾(ろう)者のボクサー役。発声による台詞ではなく、顏・体(アクション)・手話による演技。 とりわけ「眼」による表現の豊かさが、大絶賛を浴びた。 役作りのためにボクシングの特訓を重ね、リズミカルでキレのある身のこなしと、リングでの野獣のような闘いぶりを実現。 他の登場人物や風景との溶け込み具合も見事だった。同じく本年公開だった「神は見返りを求める」との対照的な役柄で、幅の広さも見せた。 製作の初期段階から参加し、成功に尽力した。 本年度の邦画界は主演女優による名演が数多く見られたが、その中でも突出していた。 【他の対象作品】 「神は見返りを求める」 「犬も食わねどチャーリーは笑う」 「やがて海へと届く」 【他の映画賞】 ・毎日映画コンクール 主演女優賞 ・高崎映画祭 主演女優賞 <2位以下> 2位:倍賞千恵子 3位:田中裕子 4位:安藤サクラ ※歴代の主演女優賞→ |
助演男優賞 |
三浦友和
「ケイコ 目を澄ませて」 (配給:ハピネットファントム) ※廃業寸前のボクシングジムの会長を演じた。人としての奥行きや年輪を感じさせるベテランならではの好演。言葉は少ないが、背中だけで語る存在感は見事。とくに岸井ゆきの演じる女性ボクサーとの練習のシーンは、多くの観客の称賛の的になった。 【他の対象作品】 「線は、僕を描く」 「グッバイ・クルエル・ワールド」 <2位以下> 2位:窪田正孝 3位(同点で4人) 中島歩 横浜流星 ダンカン 柄本明 ※歴代の助演男優賞→ |
助演女優賞 |
広末涼子
「あちらにいる鬼」 (配給:ハピネットファントム) 【他の対象作品】 「バスカヴィル家の犬 シャーロック」 「コンフィデンスマンJP 英雄編」 <2位以下> 2位(同点で2人) 伊東蒼 余貴美子 4位(同点で3人) 河合優実 大西礼芳 尾野真千子 ※歴代の助演女優賞→ |
監督賞 |
高橋伴明(ばんめい)
「夜明けまでバス停で」 (配給:渋谷プロダクション) |
読者選出 日本映画1位 |
「ケイコ 目を澄ませて」
(配給:ハピネットファントム) |
読者選出 日本映画監督賞 |
三宅唱(しょう)
「ケイコ 目を澄ませて」 (配給:ハピネットファントム) |
脚本賞 |
「夜明けまでバス停で」
梶原阿貴(あき) |
新人男優賞 |
目黒蓮
「月の満ち欠け」 (配給:松竹) 「おそ松さん」 (配給:東宝) <2位以下> 2位:水上恒司(岡田健史) 3位:カン・ユンス 4位(同点で2人) 坂元愛登(まなと) 諏訪珠理(すわ・しゅり) |
新人女優賞 |
嵐莉菜(あらし・りな)
「マイスモールランド」 (配給:バンダイナムコアーツ) <2位以下> 2位:大沢一菜(かな) 3位:上大迫祐希(かみおおさこ・ゆうき) 4位(同点で2人) Koki(コウキ) さとうほなみ |
文化映画1位 |
「私のはなし 部落のはなし」
監督:満若勇咲(みつわか・ゆうさく) |
外国映画1位 |
「リコリス・ピザ」
国内配給:ビターズ・エンド、パルコ |
読者選出 外国映画1位 |
「コーダ あいのうた」
監督:シアン・ヘダー 国内配給:ギャガ |
外国映画監督賞 |
ペドロ・アルモドバル 「パラレル・マザーズ」 国内配給:キノフィルム |
<授賞式▼>
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年 | 受賞 | |
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2023 | 「せかいのおきく」 | 詳細▼ |
2022 | 「ケイコ 目を澄(す)ませて」 | 詳細▼ |
2021 | 「ドライブ・マイ・カー」 | 詳細▼ |
2020 | 「スパイの妻」 | 詳細▼ |
2019 | 「火口のふたり」 | 詳細▼ |
2018 | 「万引き家族」 | 詳細▼ |
2017 | 「夜空はいつでも最高密度の青色だ」 | 詳細▼ |
2016 | 「この世界の片隅に」 | 詳細▼ |
2015 | 「恋人たち」 | 詳細▼ |
2014 | 「そこのみにて光輝く」 | 詳細▼ |
2013 | 「ペコロスの母に会いに行く」 | 詳細▼ |
2012 | 「かぞくのくに」 | 詳細▼ |
2011 | 「一枚のハガキ」 | 詳細▼ |
2010 | 「悪人」 | 詳細▼ |
2009 | 「ディア・ドクター」 | 詳細▼ |
2008 | 「おくりびと」 | 詳細▼ |
2007 | 「それでもボクはやってない」 | 詳細▼ |
2006 | 「フラガール」 | 詳細▼ |
2005 | 「パッチギ」 | 詳細▼ |
2004 | 「誰も知らない」 | 詳細▼ |
2003 | 「美しい夏キリシマ」 | 詳細▼ |
2002 | 「たそがれ清兵衛」 | 詳細▼ |
2001 | 「GO」 | 詳細▼ |
2000 | 「顔」 | 詳細▼ |
「キネマ旬報ベスト10」は、映画雑誌キネマ旬報(じゅんぽう)が毎年1月に選出しています。 ランキング形式で10作品が選ばれ、1位の映画が「作品賞」として表彰されます。 日本映画部門と、外国映画部門に分かれています。
キネ旬ベストテンは1924年に創設されました。アメリカのアカデミー賞よりも古い歴史があります。 60人程度の選考委員の投票によって決まります。 選考委員は、映画評論家が中心です。 学者、作家、記者もいます。 委員の全員の氏名と、 それぞれの投票内容がすべて雑誌で公表されます。 各作品の総得点や内訳まで分かります。 透明性がとても高く、大手配給会社(東宝、東映、松竹)に偏らないフェアは選考が映画ファンから厚い信頼を得ています。 日本アカデミー賞よりもはるかに公平で権威があると言われています。
【参考】2020年代 | 2010年代 | 2000年代 | 1990年代 | 1980年代 | 1970年代 | 1960年代 | 1950年代 | 1940年代 | 1930年代 | 1920年代 | ページの先頭↑ |
歴代の日本映画ベストテン一覧
2020年代 | 2010年代 | 2000年代 | 1990年代 | 1980年代 | 1970年代 | 1960年代 | 1950年代 | 1940年代 | 1930年代 | 1920年代 | ページの先頭↑ |
(2020年代 | 2010年代↓)
年 | 1位 | 2~10位 |
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2023 |
「せかいのおきく」
監督:阪本(さかもと)順治 江戸時代末期の日本は、世界に先駆けて循環型社会が成立していたと言われる。街で出る糞尿が農村に運ばれ、肥料になり、作物を育てるという流れができていた。 そんな時代の江戸を舞台に、武家育ちでありながら、今は貧乏長屋で父と暮らすおきく(黒木華)と、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事に就く中次(寛一郎)と矢亮(池松壮亮)を中心に、社会の底辺でたくましく生きる若者たちの姿を描く。 美術監督の原田満生氏が企画・立案し、プロデューサーを務めた。当初の仮題は「江戸のうんこ」。全9章で構成されているが、当初は予算がなかったため、まず原田氏の自腹のお金で2020年、パイロット版「第7章 せかいのおきく」を作った。これをもとに資金を集めようとしたが、失敗。翌年に「第6章 そして舟はゆく」を撮った。この2つの短編をもとに再び資金集めに奔走し、長編として完成させることができたという。 阪本監督は1958年、大阪府出身。1989年「どついたるねん」で監督デビュー。最近の主な監督作は「冬薔薇」「弟とアンドロイドと僕」「一度も撃ってません」「半世界」など。 【他の部門の受賞者】 ■監督賞: ビム・ベンダース 「パーフェクト・デイズ」 ■主演男優賞: 役所広司 「パーフェクト・デイズ」 ■主演女優賞: 趣里(しゅり) 「ほかげ」 ■助演男優賞: 磯村勇斗(はやと) 「月」 「正欲」ほか ■助演女優賞: 二階堂ふみ 「月」 ■新人男優賞: 塚尾桜雅(おうが) 「ほかげ」 ■新人女優賞: アイナ・ジ・エンド 「キリエのうた」 ■脚本賞: 阪本順治 「せかいのおきく」 ■文化映画1位: 「キャメラを持った男たち 関東大震災を撮る」 ■外国映画1位: 「TAR(ター)」 ■外国映画監督賞: トッド・フィールド監督 「TAR(ター)」 ■読者選出 外国映画1位: 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」 ▼授賞式の動画配信▼ |
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2022 |
「ケイコ 目を澄(す)ませて」
監督:三宅唱 【他の部門の受賞者】 ■監督賞: 高橋伴明(ばんめい) 「夜明けまでバス停で」 ■主演男優賞: 沢田研二 「土を喰らう十二ヵ月」 ■主演女優賞: 岸井ゆきの 「ケイコ 目を澄ませて」 「神は見返りを求める」 「犬も食わねどチャーリーは笑う」 「やがて海へと届く」 ■助演男優賞: 三浦友和 「ケイコ 目を澄ませて」 「線は、僕を描く」 「グッバイ・クルエル・ワールド」 ■助演女優賞: 広末涼子 「あちらにいる鬼」 「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」 「コンフィデンスマンJP 英雄編」 ■新人男優賞: 目黒蓮 「月の満ち欠け」 「おそ松さん」 ■新人女優賞: 嵐莉菜 「マイスモールランド」 ■脚本賞: 梶原阿貴(あき) 「夜明けまでバス停で」 ■文化映画1位: 「私のはなし 部落のはなし」 ■外国映画1位: 「リコリス・ピザ」 ■外国映画監督賞: ペドロ・アルモドバル監督 「パラレル・マザーズ」 <読者投票部門> ■読者選出 日本映画1位: 「ケイコ 目を澄ませて」 ■読者選出 日本映画監督賞: 三宅唱(しょう) 「ケイコ 目を澄ませて」 ■読者選出 外国映画1位: 「コーダ あいのうた」 ■読者選出 外国映画監督賞: シアン・ヘダー監督 「コーダ あいのうた」 ▼授賞式の動画配信▼ |
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2021 |
「ドライブ・マイ・カー」
【他の部門の受賞者】 ■監督賞: 濱口竜介 「ドライブ・マイ・カー」「偶然と想像」 ■主演男優賞: 役所広司 「すばらしき世界」 ■主演女優賞: 尾野真千子 「茜色に焼かれる」 「ヤクザと家族」 ■助演男優賞: 鈴木亮平 「孤狼の血 LEVEL2」 「燃えよ剣」 「土竜の唄 FINAL」 ■助演女優賞: 三浦透子(とうこ) 「ドライブ・マイ・カー」 「スパゲティコード・ラブ」 ■新人男優賞: 和田庵(いおり) 「茜色に焼かれる」 ■新人女優賞: 「由宇子の天秤(てんびん)」 「サマーフィルムにのって」 「偽りのないhappy end」 ■脚本賞: 濱口竜介、大江崇允(たかまさ) 「ドライブ・マイ・カー」 ■文化映画1位: 「水俣曼荼羅(まんだら)」 ■外国映画1位: 「ノマドランド」 ■外国映画監督賞: クロエ・ジャオ監督 「ノマドランド」 「エターナルズ」 <読者投票部門> ■読者選出 日本映画1位: 「ドライブ・マイ・カー」 ■読者選出 日本映画監督賞: 濱口竜介 「ドライブ・マイ・カー」 ■読者選出 外国映画1位: 「ノマドランド」 ■読者選出 外国映画監督賞: クロエ・ジャオ監督 「ノマドランド」 ※受賞者の一覧表→ ▼授賞式の動画配信▼ |
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2020 |
「スパイの妻」
戦争直前の軍国主義下の日本において、恐ろしい国家機密を握ってしまった会社経営者と、その妻の物語。スリリングな夫婦劇。黒沢清監督によるオリジナル・ストーリー。ヴェネチア国際映画祭で監督賞を受賞した。 舞台は1940年の神戸。太平洋戦争が近づき、日本では軍国主義に基づく統制が強まっていた。主人公は、貿易会社の青年社長と、その妻。この青年社長が仕事で中国・満州を訪れた際、日本陸軍の研究施設において非人道的な実験が行われていることを知る。それは日本政府にとって最重要の国家機密だった。青年社長は、この非道な行為を国際政治の場で告発しようと企てる。妻は、そんな夫の言動に戸惑う。 もともとはNHKのテレビ番組用に制作された。そのテレビ版を、映画版に編集した。 ベネチア国際映画祭の監督賞も受賞し、国際的に高い評価を得た。しかし、大手映画会社(東宝、東映、松竹)が優位となる日本アカデミー賞では、スパイの妻が選考対象外とされ、ノミネート「ゼロ」という衝撃の事態になった。 【その他の部門の受賞者】 ■監督賞: 大林宣彦「海辺の映画館―キネマの玉手箱」 ■主演女優賞: 水川あさみ「喜劇 愛妻物語」「滑走路」 ■主演男優賞: 森山未來「アンダードッグ」 ■助演女優賞: 蒔田彩珠(まきた・あじゅ)「朝が来る」 ■助演男優賞: 宇野祥平「罪の声」「本気のしるし 劇場版」「恋するけだもの」「37セカンズ」「星の子」 ■新人女優賞: モトーラ世理奈「風の電話」「タイトル、拒絶」 ■新人男優賞: 奥平大兼「MOTHER マザー」 ■脚本賞: 濱口竜介、野原位(ただし)、黒沢清「スパイの妻」 ■文化映画1位: 「なぜ君は総理大臣になれないのか」 ■読者選出日本映画1位: 「天外者(てんがらもん)」 ■読者選出日本映画監督賞: 田中光敏監督「天外者」 ■外国映画1位: 「パラサイト 半地下の家族」 ■外国映画監督賞: ポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」 ■読者選出外国映画1位: 「パラサイト 半地下の家族」 ■読者選出外国映画監督賞: ポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」 ※受賞者の一覧表→ |
出典「キネマ旬報 ベストテン特別号(2021年)」 |
19年 | 18年 | 17年 | 16年 | 15年 | 14年 | 13年 | 12年 | 11年 | 10年 |
年 | 1位(作品賞) | 2~10位 |
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2019 |
「火口(かこう)のふたり」
(監督:荒井晴彦、配給:ファントム・フィルム) 予告編→ Amazonビデオ→ ※他の部門の1位はこちら→ |
※出典:「キネマ旬報 ベストテン特別号(2020年)」 |
2018 |
「万引き家族」
監督:是枝裕和 カンヌ国際映画祭において、日本映画で史上5作目となる最高賞(パルムドール)を受賞した。アカデミー賞の国際映画賞にもノミネートされた。こんな映画は見たことがないと思わせてくれる是枝監督の集大成。 都会の片隅にひっそりと暮らす治ら5人家族は、生活費を祖母の年金とバイト代、足りない分は万引で賄っていた。ある冬の日、治は度々家の外に出されていた近所の女の子を見かね、家に連れ帰る。傷だらけでおなかをすかせた女の子は親元に戻りたがらず、6人目の家族になる。 予告編→ 【配信:アマゾン】 ※他の部門の1位はこちら→ |
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2017 |
「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」
監督:石井裕也 【配信:アマゾン】 孤独や死といった漠然とした不安が漂う都会の片隅を舞台に、男女の出会いと恋愛を描いた。原作は、気鋭の詩人・最果(さいはて)タヒの詩集。石井監督が完全オリジナルの脚本を作り上げた。 東京の建設現場で、日雇い労働者として働く慎二(池松壮亮)は古いアパートで独り暮らし。看護師として都内の病院に勤務する美香(石橋静河)と知り合い、心ひかれ合うが、ともに大都会での生活に息苦しさを感じていた…。 なお、石井監督は、松竹配給の映画「舟を編む」(2013年公開)で日本アカデミー賞の作品賞と監督賞を受賞したことがある。 |
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2016 |
「この世界の片隅に」
監督:片渕須直(かたぶち・すなお) 【配信:アマゾン】 アニメでは1988年の「となりのトトロ」以来2本目のキネジュン1位に輝いた。 戦争下の日常を描いた。主人公「すずさん」の生き抜く姿が共感を得た。 太平洋戦争の状況が悪化する中、軍港のある広島県呉市を舞台に、懸命に生きる庶民たち。 その暮らしぶりを綿密に描写した。 原作は漫画。片渕監督は公開の6年前から自費を投じてさらに取材を重ね、空襲などがあった日の天気や繁華街の店の並びなどを忠実に再現した。 2016年11月の封切は、全国の上映館数がわずか63館だった。 評判を呼んでロングランとなり、3か月後には200館以上に膨れ上がった。 海外でも様々な賞を獲得した。 |
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2015 |
「恋人たち」
監督:橋口亮輔 現代を生きる人たちの群像劇。通り魔殺人で妻を失った男性、不倫に走る女性、ゲイのエリート弁護士。3人の人物を軸に、日常生活にもがき苦しみながら人生を歩む姿を追う。 橋口監督はワークショップに参加した無名の俳優を抜てきした。彼らに合わせて役を作り、自身のつらい体験を反映させたという。 【配信:アマゾン】 |
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2014 |
「そこのみにて光輝く」
監督:呉美保(お・みぽ) 3人の物語。生きる目的を見失っている達夫(綾野剛)、生きる場所を見つけられないでもがく拓児(菅田将暉)、自らが願う生き方がありながら、それを実現することは不可能と達観している拓児の姉・千夏(池脇千鶴)。 海外でも高く評価された。カナダ・モントリオール世界映画祭のワールドコンペティション部門で、呉美保監督が最優秀監督賞を受賞。英レインダンス映画祭では、外国の長編作品を対象にした「ベストインターナショナルフューチャー部門」の作品賞に輝いた。 国内では、呉監督がヨコハマ映画祭など7つの映画祭で監督賞を受賞。主人公の達夫を演じた綾野剛は、キネマ旬報ベストテン、毎日映画コンクールなどで主演男優賞を獲得した。ヒロイン千夏役の池脇千鶴は、日本アカデミー賞の優秀主演女優賞などを受賞。千夏の弟で、天真爛漫(てんしんらんまん)な拓児役が好評だった菅田将暉は、TAMA映画賞の新進男優賞などを受賞した。 カメラマンの近藤龍人はヨコハマ映画祭の撮影賞などを受賞した。脚本家の高田亮も同映画祭などで脚本賞に輝いた。 【配信:アマゾン】 |
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2013 |
「ペコロスの母に会いに行く」
監督:森崎東(もりさき・あずま) 原作は、長崎市在住の岡野雄一さんによる漫画。長崎市を舞台に認知症の89歳の母親とのおかしくも切ない日常を描いた。ペコロスとは、ありていに言えば、はげ頭のおやじのこと。 主演はテレビドラマ「渡る世間は鬼ばかり」「3年B組金八先生」で有名な赤木春恵。89歳での初めて映画の主演を務めた。過去200本以上の映画に出演していたが、どれも脇役だった。本作では迫真の演技を見せた。 【配信:アマゾン】 |
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2012 |
「かぞくのくに」
監督:ヤン・ヨンヒ 「ディア・ピョンヤン」など優れたドキュメンタリーを発表してきたヤン・ヨンヒ監督が、自らの体験をもとに初めて取り組んだ劇映画。病気治療のために北朝鮮から一時帰国を許された兄と、迎える家族の物語を丹念に紡いだ。主演は安藤サクラ。 【配信:アマゾン】 |
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2011 |
「一枚のハガキ」
監督:新藤兼人 新藤兼人監督の遺作となった。公開当時99歳。 太平洋戦争末期に徴兵された自らの戦争体験をもとに脚本を書いた。反戦の思いを込めた。 戦争で生き残った男と戦友の妻との交流を通じて、「戦争のばかばかしさ」が描かれる。戦地へ赴く兵士をくじ引きで決める印象的なシーンも、新藤監督自身の体験に基づいているという。 新藤監督は広島市出身。公私ともにパートナー(後に結婚)だった女優の乙羽信子さん(1994年没)とともに低予算のハンディや資金難をものともせず、数々の名作を世に送り出した。 主演・豊川悦司(当時49歳)、大竹しのぶ(当時54歳) Tsutaya→ |
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2010 |
「悪人」
監督:李相日(リ・サンイル) 「フラガール」でキネ旬ベスト1位を獲るなど国内映画賞を総なめにした李相日監督が、その次に撮った長編映画。 長崎県の漁師町に住む殺人犯の男(妻夫木聡)と、佐賀市の紳士服量販店に勤める女(深津絵里)。誰からも必要とされない孤独な2人が、出会い系サイトで巡り合う。 死んだように生きている男は、同様の寂しさを抱えた女と知り合うことで、変わっていく。 原作は人気作家・吉田修一の同名小説。 妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、柄本明の豪華キャスト。賞レースでは、俳優部門でも数々の賞に輝いた。 【配信:アマゾン】 |
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09年 | 08年 | 07年 | 06年 | 05年 | 04年 | 03年 | 02年 | 01年 | 00年 |
年 | 1位(作品賞) | 2~10位 |
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2009 |
「ディア・ドクター」
監督:西川美和 医者不足が深刻化し、崩壊しつつある日本の地域医療。その在り方を考えさせる一本。 「ゆれる」で数々の映画賞に輝いた西川美和監督の3年ぶりの長編。一貫して人間の不可解さを描いてきた監督の代表作の一つとなった。 村にある診療所にたった1人いる伊野治医師(笑福亭鶴瓶)がいなくなった。 さかのぼること2カ月前、研修医の相馬(瑛太)がやって来る。田舎での仕事に戸惑っていたが、伊野や看護師の大竹(余貴美子)と一緒に仕事をするうちに、村人に慕われる伊野を尊敬するようになる。 【配信:アマゾン】 |
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2008 |
「おくりびと」
監督:滝田洋二郎 アカデミー賞で外国語映画賞に輝いた。亡くなった人を送る美しい所作にあふれた儀式や死者への尊厳、ユーモアも随所にあふれ、世界共通の共感を得た。 リストラされて故郷に戻ってきた元チェリストが、ひょんなことから納棺師に転職した。納棺師とは、遺体にきれいな死に化粧をし、死に装束を着せて、ひつぎに納める仕事である。 主演の本木雅弘(当時43歳)は、俳優という枠を越えて、本作の推進役となった。10数年前に訪れたインドで死者を見送る儀式を目にし、生と死が隣り合う死生観を体感した。その後、「納棺」の世界を知り、映画化の構想を温め、実現のため奔走した。 【配信:アマゾン】 |
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2007 |
「それでもボクはやってない」
監督:周防正行(すお・まさゆき) 「Shall we ダンス?」(1996年)で一世を風靡した周防正行監督の11年ぶりの新作。刑事裁判の構造的な問題点を指摘する。 就職の面接を受けるため、満員電車に飛び乗ったフリーター(加瀬亮)。痴漢容疑で逮捕され、無縁だった裁判の世界へと引きずり込まれていく。 【配信:アマゾン】 |
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2006 |
「フラガール」
監督:李相日(リ・サンイル) 配給:シネカノン さびれた炭鉱のまちが、ハワイ風の温泉レジャー施設の立ち上げによって再生を図る姿を描いた。群像ドラマ。この年の映画賞を総なめにした。商業的にも大成功した。 実話に基づいている。福島県の常磐ハワイアンセンター(スパリゾートハワイアンズ)がモデル。施設の目玉はフラダンスのショー。素人娘をダンサーにするために東京からダンス教師が招かれ、地元の娘たちが動き出す。 町を救うために夢に賭けた女たち、男たちの懸命に生きようとする力に満ちた渾身の一本。琴線に触れる人情物語であり、気持ちよく泣ける。 出演者の蒼井優、山崎静代(南海キャンディーズ)、松雪泰子らはフラダンスの特訓を重ねた。 李監督は1974年生まれ。両親は新潟朝鮮初中級学校元教師。新潟市出身で、4歳の時に家族で横浜へ転居した。日本映画学校の卒業制作「青〜chong〜」でぴあフィルムフェスティバルグランプリを受賞。そのスカラシップで制作した作品で新藤兼人賞に輝いた。 【配信:アマゾン】 |
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2005 |
「パッチギ」 監督:井筒和幸(いづつ・かずゆき) 在日朝鮮人と日本人の高校生たちの争いと恋愛を描いた。青春群像劇。 2000年代の日本映画界に新しい風を巻き起こした映画会社「シネカノン」(2010年に倒産)の代表作の一つ。 高度経済成長期の1968年の京都が舞台。 左翼学生運動が盛んだった時代である。 グループサウンズが流行していた。 平凡な高校生・康介(塩谷瞬)が主人公。一目ぼれの相手は、朝鮮高校のキョンジャ(沢尻エリカ)だ。 その兄・アンソン(高岡蒼佑)は朝鮮高校の番長だ。社会的背景を織り込みながら、朝鮮学校と日本人学校の生徒たちたちの姿を描く。 大ヒットしたザ・フォーク・クルセダーズの伝説的名曲「イムジン河」が全編に流れる。 朝鮮半島分断の悲劇を歌った曲だ。 当時、発売中止となった。 ストーリーと歌詞がシンクロする。 音楽は、ザ・フォーク・クルセダーズの加藤和彦氏が担当した。 「パッチギ」はハングルで「頭突き」を意味する。在日問題を真剣にとらえながら、泣き笑いもふんだんに盛り込んだ。恋物語を柱に、実際にあったバス横転や鴨川決闘など抗争のエピソードや、グループサウンズ、毛沢東語録、フリーセックスといった当時の風俗、社会現象も盛り込んだ。 シネカノンと井筒監督のコンビは、本作の前にも、「ゲロッパ!」「のど自慢」というヒット作を生み出していた。 出典:ムービーサーカス 1時間59分。 【配信:アマゾン】 |
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2004 |
「誰も知らない」 監督:是枝裕和(これえだ・ひろかず) 是枝監督の4本目の劇場用映画。 母親が姿を消し、アパートの一室に子供たちだけが残された。東京都内の2DKのアパート。 父親の違う4人の子供だ。 彼らは自分たちだけで生きようとする。 子供を取り巻く現代社会と、子供たちの内面を描いた。 1988年に実際にあった事件を基に、時代を現代にして、自由な発想で作られた。 テーマや子供たちの演技が大絶賛された。オーディションで選ばれた子供たちの、即興的な自由な演技を生かされたという。 カンヌ国際映画祭で、主役の少年を演じた中学3年生、柳楽優弥(やぎら・ゆうや=当時14歳)が男優賞に選ばれた。 14歳での男優賞は史上最年少記録だった。また、日本人の俳優部門での受賞は初めてだった。 撮影は2002年の秋から2003年の夏まで、四季の変化を取り込んで行われた。 出典:ムービーサーカス 【配信:アマゾン】 |
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2003 |
「美しい夏キリシマ」 監督:黒木和雄 日本映画界の巨匠で、ドキュメンタリー映画出身の黒木監督の初の自伝的作品。1945年、宮崎県の霧島連山ふもとの農村で終戦を迎える少年の一夏を描いた戦争映画。 戦争の情景は描かれず、淡々と過ぎる銃後の生活が緑深く美しい霧島の映像とともにつづられる。 主人公の少年は、空襲で親友を目の前で失って以来、自分がなぜ生き残ったのか悩み続け、生きる意味が見いだせない。一方、大人たちも戦争で大切な人や信念を失っていく。それぞれが抱える心の闇が、美しい自然の中で一層深い穴のように黒々と描かれる。 撮影地は、中学生だった黒木監督が終戦を迎えた宮崎県えびの市。監督自身、空襲で11人の級友を亡くし、友人が目の前で死んだ経験も持つ。 主人公を演じるのは、本作がデビューとなった柄本明の息子・柄本佑で、15歳という不安定な少年期をみずみずしく演じている。共演は、原田芳雄、香川照之、石田えり、左時枝など実力派の俳優たちがそろう。彼らが、戦争に翻弄(ほんろう)されながらも与えられた時代を精いっぱい生きる人々を、虚飾を排した演技で演じている。 田村正毅のカメラが、雄大な霧島山や人々のたたずまいを美しくとらえた。 キネ旬ベストでは、監督賞、新人男優賞も受賞した。黒木監督は15年前「TOMORROW/明日」(1988年)で監督賞を受賞しながら、作品賞は逃していた。 予告編→ |
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2002 |
「たそがれ清兵衛」 監督:山田洋次 幕末に生きる貧しい下級武士とその家族とのふれあい、友人の妹との恋模様などを描く人間ドラマ。 苦難の時代に生きる人々の心象風景をすくい取る繊細な演出が圧巻。色遣い、殺陣の構図など、洗練された映像の連続。 「大切なことだけを大切にしたシンプルなストーリーに、泣いてしまった」(当時19歳の宇多田ヒカル)など、世代を超えて絶賛された。 「男はつらいよ」の巨匠・山田監督にとって通算76作目の作品。原作は藤沢周平氏の同名小説と「祝い人助八」「竹光始末」。 幕末の庄内・海坂藩の貧乏下級藩士清兵衛(真田広之)は、老母と幼い娘2人を抱え、たそがれ時になると内職のために寄り道もせずまっすぐ自宅に帰る毎日。そんなある日、突然藩から剣の達人を斬ることを命じられ、清兵衛に思いを寄せる幼なじみの朋江(宮沢りえ)に別れを告げて戦いに赴く。 山田監督のデビュー作は61年の「二階の他人」。国民的人気シリーズ映画「男はつらいよ」全48作や「学校」シリーズのほか「幸福の黄色いハンカチ」「虹をつかむ男」などが代表作。 出典:ムービーサーカス 【配信:アマゾン】 |
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2001 |
「GO」 監督:行定勲(ゆきさだ・いさお) 主人公は、在日韓国人の少年。 日本人少女との恋愛、父親との葛藤(かっとう)、友人の死などを通して成長していく物語。 差別や偏見に悩み苦しみながら、自らのアイデンティティーを確立していく。 高校3年の杉原(窪塚洋介)は在日韓国人。偶然知り合った美少女、桜井(柴咲コウ)と恋に落ち、国籍を明かさぬまま、デートを重ねるが、自分に決着をつけるためついに告白する。 原作は、小説家・金城一紀(かねしろ・かずき)の小説。 前年に直木賞を受賞していた。 金城氏の半自伝的な要素もある。 行定監督にとって初めてのメジャー作品だった。 この3年後に、「世界の中心で、愛をさけぶ」も大ヒットさせた。 主演の窪塚洋介は、アクションスター的なしなやか動きを披露。その一方で、破天荒な振る舞いと裏腹に、ルーツと向き合う悩み、恋に落ちた切なさをリアルに表現した。 明るくマイペースな主人公の母を大竹しのぶ、強烈な個性で息子を導く元ボクサーの父を山崎努が演じる。 出典:ムービーサーカス 【配信:アマゾン】 |
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2000 |
「顔」 監督:阪本順治(さかもと・じゅんじ) 弾みで妹を殺してしまった引きこもりの中年女性が、逃亡先でいろいろな人たちと出会い、変身していく物語。 喜劇女優の藤山直美が映画初主演。 阪本順治監督は1958年10月、大阪府堺市生まれ。横浜国大在学中に石井聰亙、井筒和幸、川島透らの監督のもとでスタッフとして撮影に参加。1989年、赤井英和を起用した「どついたるねん」で監督デビュー。「トカレフ」「ビリケン」「新・仁義なき戦い」など話題作をコンスタントに撮り続けてきた。 |
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99年 | 98年 | 97年 | 96年 | 95年 | 94年 | 93年 | 92年 | 91年 | 90年 |
年 | 1位(作品賞) | 2~10位 |
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1999 |
「あ、春」 監督:相米慎二(そうまい・しんじ) 予告編→ |
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1998 |
「HANA-BI」 監督:北野武 予告編→ |
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1997 |
「うなぎ」 監督:今村昌平 カンヌ国際映画祭で最高賞(パルムドール)に輝いた。日本映画として4作目。しかも、今村監督は1983年の「楢山節考」に続いて2度目のカンヌ最高賞。世界で史上4人目の快挙だった。 浮気した妻を殺し、服役後に出所した男(役所広司)が主人公。うなぎにしか本音を明かさない閉じた心が、やはり暗い過去を持つ女性(清水美砂)との触れ合いを通して、徐々にいやされていく姿を、ユーモアを交えながら描いている。原作は吉村昭氏の「闇にひらめく」。 「われわれが住んでいる複雑な社会を表現している。内なる叫び、欲望、狂気のはけ口を兼ね備えた作品」などと絶賛された。 予告編→ |
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1996 |
「Shall we ダンス?」 監督:周防正行(すお・まさゆき) 【配信:アマゾン】 |
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1995 |
「午後の遺言状」 監督:新藤兼人 【配信:アマゾン】 |
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1994 |
「全身小説家」 監督:原一男 【配信:アマゾン】 |
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1993 |
「月はどっちに出ている」 監督:崔洋一 【配信:アマゾン】 |
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1992 | 「シコふんじゃった」 監督:周防正行(すお・まさゆき) 予告編(Amazon)→ |
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1991 | 「息子」 監督:山田洋次 予告編(Amazon)→ |
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1990 | 「櫻の園」 監督:中原俊 22人の新人女優で現代の女子校を描いた異色映画。 原作は吉田秋生の同名漫画。高校の創立記念日にチェーホフの「櫻の園」を上演する演劇部の学生たちの上演直前の2時間にスポットを当て、悲喜こもごものエピソードが最後に一つに収束する集団劇の趣。出演者は新人ばかりとあって、撮影前には異例の2カ月に及ぶリハーサルが繰り返された。 配給は、新興の映画会社「アルゴプロジェクト」。スナップアップ投資顧問 評判によると、アルゴプロジェクト(略称:アルゴ)は、日本映画を支える独立プロダクション(制作会社)の代表たちが設立した。キティ・フィルムの伊地智啓、ニューセンチュリー・プロデューサーズの岡田裕ら6人のプロデューサーが参加した。自分たちの背丈に合った中規模の映画を自主製作する。場合によっては配給も自ら行うという画期的な挑戦だった。参加したプロデューサーらは、過去に「セーラー服と機関銃」「家族ゲーム」などの傑作を手掛けてきた。それまでは大手映画会社と提携したが、製作段階から、配役や団体前売り券などについての要求が多く、作り手の意向が軽視されがちだったことの疑問を抱いていたようだ。 Amazon→ |
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89年 | 88年 | 87年 | 86年 | 85年 | 84年 | 83年 | 82年 | 81年 | 80年 |
年 | 1位(作品賞) | 2~10位 |
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1989 | 「黒い雨」 監督:今村昌平 Amazon→ |
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1988 | 「となりのトトロ」 監督:宮崎駿 Amazon→ |
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1987 | 「マルサの女」 監督:伊丹十三 Amazon→ |
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1986 | 「海と毒薬」
監督:熊井啓 予告編(Amazon)→ |
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1985 | 「それから」
監督:森田芳光 予告編(Amazon)→ |
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1984 | 「お葬式」
監督:伊丹十三 Amazon→ |
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1983 | 「家族ゲーム」
監督:森田芳光 予告編(Amazon)→ |
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1982 | 「蒲田行進曲」
監督:深作欣二 Amazon→ |
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1981 | 「泥の河」
監督:小栗康平 予告編(Amazon)→ |
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1980 | 「ツィゴイネルワイゼン」 監督:鈴木清順 予告編(Amazon)→ |
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79年 | 78年 | 77年 | 76年 | 75年 | 74年 | 73年 | 72年 | 71年 | 70年 |
年 | 1位(作品賞) | 2~10位 |
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1979 | 「復讐するは我にあり」
監督:今村昌平 Amazon→ |
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1978 | 「サード」
監督:東陽一 予告編(Amazon)→ |
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1977 | 「幸福の黄色いハンカチ」
監督:山田洋次 予告編(Amazon)→ |
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1976 | 「青春の殺人者」
監督:長谷川和彦 予告編(Amazon)→ |
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1975 | 「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」
監督:新藤兼人 Amazon→ |
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1974 | 「サンダカン八番娼館 望郷」
監督:熊井啓 予告編(Amazon)→ |
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1973 | 「津軽じょんがら節」
監督:斎藤耕一 予告編(Amazon)→ |
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1972 | 「忍ぶ川」
監督:熊井啓 Amazon→ |
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1971 | 「儀式」
監督:大島渚 Amazon→ |
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1970 | 「家族」
監督:山田洋次 予告編(Amazon)→ |
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69年 | 68年 | 67年 | 66年 | 65年 | 64年 | 63年 | 62年 | 61年 | 60年 |
59年 | 58年 | 57年 | 56年 | 55年 | 54年 | 53年 | 52年 | 51年 | 50年 |
49年 | 48年 | 47年 | 46年 | 45年 | 44年 | 43年 | 42年 | 41年 | 40年 |
39年 | 38年 | 37年 | 36年 | 35年 | 34年 | 33年 | 32年 | 31年 | 30年 |
(1930年代↑ | 1920年代)