スナップアップ投資顧問の映画セクター分析レポート

合併によって生まれた新会社アスミック・エースは外国映画の輸入・配給に加えて、製作にも力を入れた。有力な親会社を持つ個性派同士の「結婚」が、転換期の映画界に新たな流れを生んだ。

新会社の社長は、「失楽園」「リング」「らせん」の製作でも知られるエースの原正人社長が就任した。原氏はエースの共同創業者の一人だ。専務にはアスミックの椎名保社長が就任した。

新会社「アスミックエースは、まず、両社の公開予定作品の配給作業を通して体制を固めた。同時に、製作作品の企画開発も進めた。

住商の資金力をバックに外国映画を買い付け

外国映画の買い付け価格が高騰するなか、住商の資金力をバックに優良ソフトの確保にも力を入れた。1年間の製作・配給は30本程度だった。

劇場公開は既存の興行網に乗せた。シネマコンプレックスの普及や衛星放送やDVDなど映像メディアの多様化を受け、販売ルートの拡充も図った。

エース創業者の原正人氏

原正人社長は新会社のモデルとして、「イングリッシュ・ペイシェント」の製作や「Shall we ダンス?」の配給などで知られる米国のミラマックスを挙げた。「出資、製作、配給のどの部門でも、求められるのは時代と作品を見極める目。アスミックとエース両社の個性を生かし、あそこに行けば何か出来ると思われる『目利きのいる会社』にしたい」と語っていた。

アスミック出身の椎名保氏

椎名保専務は、エースの製作実績に期待を寄せた。「映像メディア多重化の時代に、生き残るのは作れる会社。邦画製作はリスクを伴うが、実績のある会社と組めば、無用な授業料を払わずにすむ。一方、アスミックはビデオやゲームソフトの販売で流通のノウハウを持つ。双方の蓄積を結合し、最大限の力を引き出したい」と語っていた。