歴代の作品賞(日本映画ベストテン)

2020年代

2020年(第94回)~2023年(第97回)

 | 24年 | 23年 | 22年 | 21年 | 20年 | 

2020年代 | 2010年代↓

1位 2~10位
2024 「夜明けのすべて」

夜明けのすべて

 監督:三宅唱(しょう)

人間への慈しみがあふれる心優しい映画。

月経前症候群(PMS)で月に一度感情をコントロールできなくなってしまう女性(上白石萌音)。この女性と同じ会社に転職してきたばかりで、パニック障害を抱える男性(松村北斗)。2人は互いのしんどさを知り、さりげなく助け合うようになる。友人とも恋人とも異なる、簡単には名付けられない2人の関係が描写される。

劇的な展開や大げさな感情表現がない。主人公2人を静かにさりげなく見守る職場の人たちの思いやりが印象的。

瀬尾まいこの同名小説が原作。2人が移動式プラネタリウムの企画に従事するのは原作からの変更点。

前々年の「ケイコ 目を澄ませて」に続いて三宅唱監督作の受賞。監督賞、主演男優賞、読者選出1位も獲得。

(配給:バンダイナムコ&アスミック・エース)


【他の部門の受賞者】
■監督賞:
三宅唱
「夜明けのすべて」

■主演男優賞:
松村北斗(ほくと)
「夜明けのすべて」

■主演女優賞:
河合優実(ゆうみ)
「ナミビアの砂漠」
「あんのこと」

■助演男優賞:
池松壮亮(そうすけ)
「ぼくのお日さま」
「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」

■助演女優賞:
忍足亜希子(おしだり・あきこ)
「ぼくが生きてる、ふたつの世界」

■新人男優賞:
越山敬達(こしやま・けいたつ)
「ぼくのお日さま」

■新人女優賞:
中西希亜良(きあら)
「ぼくのお日さま」

■脚本賞:
阪本順治
「せかいのおきく」

■文化映画1位:
「正義の行方」

■外国映画1位:
「オッペンハイマー」

■外国映画監督賞:
クリストファー・ノーラン監督
「オッペンハイマー」

<読者投票部門>
■読者選出 日本映画1位:
「夜明けのすべて」

■読者選出 外国映画1位:
「オッペンハイマー」
  • 2位: 「ナミビアの砂漠」
    ナミビアの砂漠
     監督:山中瑶子(ようこ)
    (配給:ハピネットファントム)

  • 3位: 「悪は存在しない」
    悪は存在しない
     監督:濱口竜介

  • 4位:同点で2本 「ぼくのお日さま」
    ぼくのお日さま
     監督:奥山大史(ひろし)
    (配給:東京テアトル)

  • 「Cloud クラウド」
    Cloud クラウド
     監督:黒沢清
    (配給:東京テアトル、日活)

  • 6位: 「ぼくが生きてる、ふたつの世界」
    ぼくが生きてる、ふたつの世界
     監督:呉美保(お・みぽ)
    (配給:ギャガ)

  • 7位: 「ルックバック」
    ルックバック
     監督:押山清高

  • 8位: 「青春ジャック 止められるか俺たちを2」
     監督:井上淳一

  • 9位: 「ラストマイル」
    ラストマイル
     監督:塚原あゆ子
    (配給:東宝)

  • 10位: 「あんのこと」
    あんのこと
     監督:入江悠(ゆう)
    (配給:キノフィルムズ)
2023 「せかいのおきく」

せかいのおきく

 監督:阪本(さかもと)順治

江戸時代末期の日本は、世界に先駆けて循環型社会が成立していたと言われる。街で出る糞尿が農村に運ばれ、肥料になり、作物を育てるという流れができていた。

そんな時代の江戸を舞台に、武家育ちでありながら、今は貧乏長屋で父と暮らすおきく(黒木華)と、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事に就く中次(寛一郎)と矢亮(池松壮亮)を中心に、社会の底辺でたくましく生きる若者たちの姿を描く。

美術監督の原田満生氏が企画・立案し、プロデューサーを務めた。当初の仮題は「江戸のうんこ」。全9章で構成されているが、当初は予算がなかったため、まず原田氏の自腹のお金で2020年、パイロット版「第7章 せかいのおきく」を作った。これをもとに資金を集めようとしたが、失敗。翌年に「第6章 そして舟はゆく」を撮った。この2つの短編をもとに再び資金集めに奔走し、長編として完成させることができたという。

阪本監督は1958年、大阪府出身。1989年「どついたるねん」で監督デビュー。最近の主な監督作は「冬薔薇」「弟とアンドロイドと僕」「一度も撃ってません」「半世界」など。


【他の部門の受賞者】

■監督賞:
ビム・ベンダース
「パーフェクト・デイズ」

■主演男優賞:
役所広司
「パーフェクト・デイズ」

■主演女優賞:
趣里(しゅり)
「ほかげ」

■助演男優賞:
磯村勇斗(はやと)
「月」
「正欲」ほか

■助演女優賞:
二階堂ふみ
「月」

■新人男優賞:
塚尾桜雅(おうが)
「ほかげ」

■新人女優賞:
アイナ・ジ・エンド
「キリエのうた」

■脚本賞:
阪本順治
「せかいのおきく」

■文化映画1位:
「キャメラを持った男たち 関東大震災を撮る」

■外国映画1位:
「TAR(ター)」

■外国映画監督賞:
トッド・フィールド監督
「TAR(ター)」

■読者選出 外国映画1位:
「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」


▼授賞式の動画配信▼
  • 2位: 「パーフェクト・デイズ」
    パーフェクト・デイズ
    (配給:ビターズ・エンド)
     監督:ビム・ベンダース

  • 3位: 「ほかげ」
    ほかげ
    (配給:新日本映画社)
     監督:塚本晋也

  • 4位: 「福田村事件」
    福田村事件
    (配給:太秦)
     監督:森達也

  • 5位: 「月」
    月
    (配給:スターサンズ)
     監督:石井裕也

  • 6位: 「花腐し(はなくたし)」
    花腐し
    (配給:東映ビデオ)
     監督:荒井晴彦

  • 7位: 「怪物」
    怪物
    (配給:東宝、ギャガ)
     監督:是枝裕和

  • 8位: 「ゴジラ-1.0」
    ゴジラ-1.0
    (配給:東宝)
     監督:山崎貴

  • 9位: 「君たちはどう生きるか」
    君たちはどう生きるか
    (配給:東宝)
     監督:宮崎駿(はやお)

  • 10位: 「春画先生」
    春画先生
    (配給:ハピネットファントム)
     監督:塩田明彦
2022 「ケイコ 目を澄(す)ませて」

ケイコ 目を澄ませて

 監督:三宅唱


【他の部門の受賞者】

■監督賞:
高橋伴明(ばんめい)
「夜明けまでバス停で」

■主演男優賞:
沢田研二
「土を喰らう十二ヵ月」

■主演女優賞:
岸井ゆきの
「ケイコ 目を澄ませて」
「神は見返りを求める」
「犬も食わねどチャーリーは笑う」
「やがて海へと届く」

■助演男優賞:
三浦友和
「ケイコ 目を澄ませて」
「線は、僕を描く」
「グッバイ・クルエル・ワールド」

■助演女優賞:
広末涼子
「あちらにいる鬼」
「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」
「コンフィデンスマンJP 英雄編」

■新人男優賞:
目黒蓮
「月の満ち欠け」
「おそ松さん」

■新人女優賞:
嵐莉菜
「マイスモールランド」

■脚本賞:
梶原阿貴(あき)
「夜明けまでバス停で」

■文化映画1位:
「私のはなし 部落のはなし」

■外国映画1位:
「リコリス・ピザ」

■外国映画監督賞:
ペドロ・アルモドバル監督
「パラレル・マザーズ」

<読者投票部門>
■読者選出 日本映画1位:
「ケイコ 目を澄ませて」

■読者選出 日本映画監督賞:
三宅唱(しょう)
「ケイコ 目を澄ませて」

■読者選出 外国映画1位:
「コーダ あいのうた」

■読者選出 外国映画監督賞:
シアン・ヘダー監督
「コーダ あいのうた」


▼授賞式の動画配信▼
  • 2位: 「ある男」
    ある男
    (配給:松竹)
     監督:石川慶

  • 3位: 「夜明けまでバス停で」
    夜明けまでバス停で
    (配給:渋谷プロダクション)
     監督:高橋伴明

  • 4位: 「こちらあみ子」
    こちらあみ子
    (配給:アークエンタテインメント)
     監督:森井勇佑

  • 5位: 「冬薔薇(ふゆそうび)」
    冬薔薇(ふゆそうび)
    (配給:キノフィルムズ)
     監督:阪本順治
    【配信:アマゾン

  • 6位:同点で3本 「PLAN 75」
    PLAN 75
    (配給:ハピネットファントム)
     監督:早川千絵

  • 「土を喰らう十二ヵ月」
    土を喰らう十二ヵ月
    (配給:日活)
     監督:中江裕司

  • 「ハケンアニメ!」
    ハケンアニメ!
    (配給:東映)
     監督:吉野耕平
    【配信:アマゾン

  • 9位:同点で2本 「さがす」
    さがす
    (配給:アスミック・エース)
     監督:片山慎三
    【配信:アマゾン

  • 「千夜、一夜」
    千夜、一夜
    (配給:ビターズ・エンド)
     監督:久保田直
2021 「ドライブ・マイ・カー」

ドライブ・マイ・カー

(配給:ビターズ・エンド)
(公開:2021年8月20日)
 監督:濱口竜介
 受賞歴→
 作品紹介→
 予告編→



【他の部門の受賞者】

■監督賞:
濱口竜介
「ドライブ・マイ・カー」「偶然と想像」

■主演男優賞:
役所広司
「すばらしき世界」

■主演女優賞:
尾野真千子
「茜色に焼かれる」
「ヤクザと家族」

■助演男優賞:
鈴木亮平
「孤狼の血 LEVEL2」
「燃えよ剣」
「土竜の唄 FINAL」

■助演女優賞:
三浦透子(とうこ)
「ドライブ・マイ・カー」
「スパゲティコード・ラブ」

■新人男優賞:
和田庵(いおり)
「茜色に焼かれる」

■新人女優賞:
「由宇子の天秤(てんびん)」
「サマーフィルムにのって」
「偽りのないhappy end」

■脚本賞:
濱口竜介、大江崇允(たかまさ)
「ドライブ・マイ・カー」

■文化映画1位:
「水俣曼荼羅(まんだら)」

■外国映画1位:
「ノマドランド」

■外国映画監督賞:
クロエ・ジャオ監督
「ノマドランド」
「エターナルズ」

<読者投票部門>
■読者選出 日本映画1位:
「ドライブ・マイ・カー」

■読者選出 日本映画監督賞:
濱口竜介
「ドライブ・マイ・カー」

■読者選出 外国映画1位:
「ノマドランド」

■読者選出 外国映画監督賞:
クロエ・ジャオ監督
「ノマドランド」

※受賞者の一覧表→

▼授賞式の動画配信▼
  • 2位:
    「茜(あかね)色に焼かれる」
    茜(あかね)色に焼かれる
    (配給:フィルムランド、朝日新聞社、スターサンズ)
    (公開:2021年5月21日)
     監督:石井裕也
     予告編→
     ブルーレイ(アマゾン)→
     Wiki→

  • 3位:
    「偶然と想像」
    偶然と想像
    (配給:インクライン)
    (公開:2021年12月17日)
     監督:濱口竜介
     予告編→
     Wiki→

  • 4位:
    「すばらしき世界」
    すばらしき世界
    (配給:ワーナー・ブラザース)
    (公開:2021年2月11日)
     監督:西川美和
     作品紹介→
     予告編→
     動画配信(アマゾン)→

  • 5位:
    「水俣曼荼羅(まんだら)」
    水俣曼荼羅
    (配給:疾走プロダクション)
    (公開:2021年11月27日)
     監督:原一男

  • 6位:
    「あのこは貴族」
    あのこは貴族
    (配給:東京テアトル、バンダイナムコアーツ)
    (公開:2021年2月26日)
     監督:岨手由貴子(そで・ゆきこ)
     作品紹介→
     予告編→
     動画配信(アマゾン)→

  • 7位:
    「空白」
    空白
    (配給:スターサンズ、角川)
    (公開:2021年9月23日)
     監督:吉田恵輔(けいすけ)
     予告編→
     動画配信(アマゾン)→
     Wiki→

  • 8位:
    「由宇子の天秤(ゆうこのてんびん)」
    由宇子の天秤
    (配給:ビターズ・エンド)
    (公開:2021年9月17日)
     監督:春本雄二郎
     作品紹介→
     予告編→

  • 9位:
    「いとみち」
    いとみち
    (配給:アークエンタテインメント)
    (公開:2021年6月25日)
     監督:横浜聡子

  • 10位:
    「花束みたいな恋をした」
    花束みたいな恋をした
    (配給:東京テアトル、リトルモア)
    (公開:2021年1月29日)
     監督:土井裕泰(のぶひろ)
     作品紹介→
     予告編→
     ブルーレイ(アマゾン)→
2020 「スパイの妻」

スパイの妻

 監督:黒沢清

 配給:ビターズ・エンド

(公開:2020年10月16日)

 予告編→

戦争直前の軍国主義下の日本において、恐ろしい国家機密を握ってしまった会社経営者と、その妻の物語。スリリングな夫婦劇。黒沢清監督によるオリジナル・ストーリー。ヴェネチア国際映画祭で監督賞を受賞した。

舞台は1940年の神戸。太平洋戦争が近づき、日本では軍国主義に基づく統制が強まっていた。主人公は、貿易会社の青年社長と、その妻。この青年社長が仕事で中国・満州を訪れた際、日本陸軍の研究施設において非人道的な実験が行われていることを知る。それは日本政府にとって最重要の国家機密だった。青年社長は、この非道な行為を国際政治の場で告発しようと企てる。妻は、そんな夫の言動に戸惑う。

もともとはNHKのテレビ番組用に制作された。そのテレビ版を、映画版に編集した。

ベネチア国際映画祭の監督賞も受賞し、国際的に高い評価を得た。しかし、大手映画会社(東宝、東映、松竹)が優位となる日本アカデミー賞では、スパイの妻が選考対象外とされ、ノミネート「ゼロ」という衝撃の事態になった。


【その他の部門の受賞者】

■監督賞:
大林宣彦「海辺の映画館―キネマの玉手箱」

■主演女優賞:
水川あさみ「喜劇 愛妻物語」「滑走路」

■主演男優賞:
森山未來「アンダードッグ」

■助演女優賞:
蒔田彩珠(まきた・あじゅ)「朝が来る」

■助演男優賞:
宇野祥平「罪の声」「本気のしるし 劇場版」「恋するけだもの」「37セカンズ」「星の子」

■新人女優賞:
モトーラ世理奈「風の電話」「タイトル、拒絶」

■新人男優賞:
奥平大兼「MOTHER マザー」

■脚本賞:
濱口竜介、野原位(ただし)、黒沢清「スパイの妻」

■文化映画1位:
「なぜ君は総理大臣になれないのか」

■読者選出日本映画1位:
「天外者(てんがらもん)」

■読者選出日本映画監督賞:
田中光敏監督「天外者」

■外国映画1位:
「パラサイト 半地下の家族」

■外国映画監督賞:
ポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」

■読者選出外国映画1位:
「パラサイト 半地下の家族」

■読者選出外国映画監督賞:
ポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」

※受賞者の一覧表→
  • 【2位】
    「海辺の映画館―キネマの玉手箱」
     予告編→
    (配給:アスミック・エース)
  • 【3位】
    「朝が来る」    
     予告編→
    (配給:キノフィルムズ)
  • 【4位】
    「アンダードッグ」
     予告編→
    (配給:東映ビデオ)
  • 【5位】
    「本気のしるし」
     予告編→
    (配給:ラビットハウス)
  • 【6位】
    「37セカンズ」
     予告編→    
     ネトフリ配信→    
    (配給:ラビットハウス)
  • 【7位】
    「罪の声」
     予告編→
    (配給:東宝)
  • 【8位】
    「喜劇 愛妻物語」
     予告編→    
     動画配信(Amazon)→
    (配給:バンダイナムコアーツ、キューテック)
  • 【9位】
    「空に住む」
     予告編→
    (配給:アスミック・エース)
  • 【10位】
    「アルプススタンドのはしの方」
     予告編→
     動画配信(Amazon)→
    (配給:SPOTTED PRODUCTIONS)

出典「キネマ旬報 ベストテン特別号(2021年)

2010年代

2010年(第84回)~2019年(第93回)

19年 | 18年 | 17年 | 16年 | 15年 | 14年 | 13年 | 12年 | 11年 | 10年 | 

2020年代↑ | 2010年代 | 2000年代↓

1位(作品賞) 2~10位
2019 「火口(かこう)のふたり」

火口のふたり

(監督:荒井晴彦、配給:ファントム・フィルム)

 予告編→

 Amazonビデオ→

※他の部門の1位はこちら→

※出典:「キネマ旬報 ベストテン特別号(2020年)
2018 「万引き家族」

万引き家族

 監督:是枝裕和



カンヌ国際映画祭において、日本映画で史上5作目となる最高賞(パルムドール)を受賞した。アカデミー賞の国際映画賞にもノミネートされた。こんな映画は見たことがないと思わせてくれる是枝監督の集大成。

都会の片隅にひっそりと暮らす治ら5人家族は、生活費を祖母の年金とバイト代、足りない分は万引で賄っていた。ある冬の日、治は度々家の外に出されていた近所の女の子を見かね、家に連れ帰る。傷だらけでおなかをすかせた女の子は親元に戻りたがらず、6人目の家族になる。

 予告編→

【配信:アマゾン

※他の部門の1位はこちら→
  • 2位:
    「菊とギロチン」
    【配信:アマゾン
  • 3位:
    「きみの鳥はうたえる」
    【配信:アマゾン
  • 4位:
    「寝ても覚めても」
    【配信:アマゾン
  • 5位:
    「孤狼(ころう)の血」
    【配信:アマゾン
  • 6位:
    「鈴木家の嘘」
    【配信:アマゾン
  • 7位:
    「斬、(ざん)」
    【配信:アマゾン
  • 8位:
    「友罪」
    【配信:アマゾン
  • 9位:
    「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」
    【配信:アマゾン
  • 10位:
    「教誨師(きょうかいし)」
    【配信:アマゾン
2017 「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」

夜空はいつでも最高密度の青色だ

 監督:石井裕也

【配信:アマゾン

孤独や死といった漠然とした不安が漂う都会の片隅を舞台に、男女の出会いと恋愛を描いた。原作は、気鋭の詩人・最果(さいはて)タヒの詩集。石井監督が完全オリジナルの脚本を作り上げた。

東京の建設現場で、日雇い労働者として働く慎二(池松壮亮)は古いアパートで独り暮らし。看護師として都内の病院に勤務する美香(石橋静河)と知り合い、心ひかれ合うが、ともに大都会での生活に息苦しさを感じていた…。

なお、石井監督は、松竹配給の映画「舟を編む」(2013年公開)で日本アカデミー賞の作品賞と監督賞を受賞したことがある。
  • 2位:
    「花筐/HANAGATAMI」
    【配信:アマゾン
  • 3位:
    「あゝ、荒野(前篇/後篇)」
    【配信:アマゾン
  • 4位:
    「幼な子われらに生まれ」
    【配信:アマゾン
  • 5位:
    「散歩する侵略者」
    【配信:アマゾン
  • 6位:
    「バンコクナイツ」
     監督:富田克也
  • 7位:
    「彼女の人生は間違いじゃない」
     監督:廣木隆一
  • 8位:
    「三度目の殺人」
     監督:是枝裕和(これえだ・ひろかず)
  • 9位:
    「彼女がその名を知らない鳥たち」
     監督:白石和彌(しらいし・かずや)
  • 10位:
    「彼らが本気で編むときは、」
     監督:荻上直子(おぎがみ・なおこ)
2016 「この世界の片隅に」

この世界の片隅に

 監督:片渕須直(かたぶち・すなお)

【配信:アマゾン

アニメでは1988年の「となりのトトロ」以来2本目のキネジュン1位に輝いた。

戦争下の日常を描いた。主人公「すずさん」の生き抜く姿が共感を得た。

太平洋戦争の状況が悪化する中、軍港のある広島県呉市を舞台に、懸命に生きる庶民たち。 その暮らしぶりを綿密に描写した。

原作は漫画。片渕監督は公開の6年前から自費を投じてさらに取材を重ね、空襲などがあった日の天気や繁華街の店の並びなどを忠実に再現した。

2016年11月の封切は、全国の上映館数がわずか63館だった。 評判を呼んでロングランとなり、3か月後には200館以上に膨れ上がった。 海外でも様々な賞を獲得した。
  • 2位:
    「シン・ゴジラ」
     監督:庵野秀明(あんの・ひであき)
  • 3位:
    「淵に立つ」
     監督:深田晃司
  • 4位:
    「ディストラクション・ベイビーズ」
     監督:真利子哲也(まりこ・てつや)
  • 5位:
    「永い言い訳」
     監督:西川美和
  • 6位:
    「リップヴァンウィンクルの花嫁」
     監督:岩井俊二
  • 7位:
    「湯を沸かすほどの熱い愛」
     監督:中野量太
  • 8位:
    「クリーピー 偽りの隣人」
     監督:黒沢清
  • 9位:
    「オーバー・フェンス」
     監督:山下敦弘(やました・のぶひろ)
  • 10位:
    「怒り」
     監督:李相日(り・さんいる)
2015 「恋人たち」

恋人たち

 監督:橋口亮輔

現代を生きる人たちの群像劇。通り魔殺人で妻を失った男性、不倫に走る女性、ゲイのエリート弁護士。3人の人物を軸に、日常生活にもがき苦しみながら人生を歩む姿を追う。

橋口監督はワークショップに参加した無名の俳優を抜てきした。彼らに合わせて役を作り、自身のつらい体験を反映させたという。

【配信:アマゾン
  • 2位:
    「野火」
     監督:塚本晋也
  • 3位:
    「ハッピーアワー」
     監督:濱口竜介
  • 4位:
    「海街diary」
     監督:是枝裕和(これえだ・ひろかず)
  • 5位:
    「岸辺の旅」
     監督:黒沢清
  • 6位:
    「GONIN サーガ」
     監督:石井隆
  • 7位:
    「この国の空」
     監督:荒井晴彦
  • 8位:
    「ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判」
     監督:成島出(なるしま・いづる)
  • 9位:
    「母と暮せば」
     監督:山田洋次
  • 10位:
    「きみはいい子」
     監督:呉美保(お・みぽ)
  • 10位:
    「ローリング」
     監督:冨永昌敬
2014 「そこのみにて光輝く」

そこのみにて光輝く

 監督:呉美保(お・みぽ)

3人の物語。生きる目的を見失っている達夫(綾野剛)、生きる場所を見つけられないでもがく拓児(菅田将暉)、自らが願う生き方がありながら、それを実現することは不可能と達観している拓児の姉・千夏(池脇千鶴)。

海外でも高く評価された。カナダ・モントリオール世界映画祭のワールドコンペティション部門で、呉美保監督が最優秀監督賞を受賞。英レインダンス映画祭では、外国の長編作品を対象にした「ベストインターナショナルフューチャー部門」の作品賞に輝いた。

国内では、呉監督がヨコハマ映画祭など7つの映画祭で監督賞を受賞。主人公の達夫を演じた綾野剛は、キネマ旬報ベストテン、毎日映画コンクールなどで主演男優賞を獲得した。ヒロイン千夏役の池脇千鶴は、日本アカデミー賞の優秀主演女優賞などを受賞。千夏の弟で、天真爛漫(てんしんらんまん)な拓児役が好評だった菅田将暉は、TAMA映画賞の新進男優賞などを受賞した。

カメラマンの近藤龍人はヨコハマ映画祭の撮影賞などを受賞した。脚本家の高田亮も同映画祭などで脚本賞に輝いた。

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  • 2位:
    「0.5ミリ」
     監督:安藤桃子
  • 3位:
    「紙の月」
     監督:吉田大八
  • 4位:
    「野のなななのか」
     監督:大林宣彦
  • 5位:
    「ぼくたちの家族」
     監督:石井裕也
  • 6位:
    「小さいおうち」
     監督:山田洋次
  • 7位:
    「私の男」
     監督:熊切和嘉(くまきり・かずよし)
  • 8位:
    「百円の恋」
     監督:武正晴(たけ・まさはる)
  • 9位:
    「水の声を聞く」
     監督:山本政志
  • 10位:
    「ニシノユキヒコの恋と冒険」
     監督:井口奈己(いぐち・なみ)
  • 10位:
    「蜩ノ記」
     監督:小泉堯史(こいずみ・たかし)
2013 「ペコロスの母に会いに行く」

ペコロスの母に会いに行く

 監督:森崎東(もりさき・あずま)

原作は、長崎市在住の岡野雄一さんによる漫画。長崎市を舞台に認知症の89歳の母親とのおかしくも切ない日常を描いた。ペコロスとは、ありていに言えば、はげ頭のおやじのこと。

主演はテレビドラマ「渡る世間は鬼ばかり」「3年B組金八先生」で有名な赤木春恵。89歳での初めて映画の主演を務めた。過去200本以上の映画に出演していたが、どれも脇役だった。本作では迫真の演技を見せた。

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  • 2位:
    「舟を編む」
     監督:石井裕也
  • 3位:
    「凶悪」
     監督:白石和彌
  • 4位:
    「かぐや姫の物語」
     監督:高畑勲(たかはた・いさお)
  • 5位:
    「共喰い」
     監督:青山真治
  • 6位:
    「そして父になる」
     監督:是枝裕和(これえだ・ひろかず)
  • 7位:
    「風立ちぬ」
     監督:宮崎駿
  • 8位:
    「さよなら渓谷」
     監督:大森立嗣(おおもり・たつし)
  • 9位:
    「もらとりあむタマ子」
     監督:山下敦弘(やました・のぶひろ)
  • 10位:
    「フラッシュバックメモリーズ 3D」
     監督:松江哲明(まつえ・てつあき)
2012 「かぞくのくに」

かぞくのくに

 監督:ヤン・ヨンヒ

「ディア・ピョンヤン」など優れたドキュメンタリーを発表してきたヤン・ヨンヒ監督が、自らの体験をもとに初めて取り組んだ劇映画。病気治療のために北朝鮮から一時帰国を許された兄と、迎える家族の物語を丹念に紡いだ。主演は安藤サクラ。

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  • 2位:
    「桐島、部活やめるってよ」
     監督:吉田大八(よしだ・だいはち)
  • 3位:
    「アウトレイジ ビヨンド」
     監督:北野武
  • 4位:
    「終(つい)の信託」
     監督:周防正行(すお・まさゆき)
  • 5位:
    「苦役列車」
     監督:山下敦弘(やました・のぶひろ)
  • 6位:
    「わが母の記」
     監督:原田眞人
  • 7位:
    「ふがいない僕は空を見た」
     監督:タナダユキ
  • 8位:
    「鍵泥棒のメソッド」
     監督:内田けんじ
  • 9位:
    「希望の国」
     監督:園子温(その・しおん)
  • 10位:
    「夢売るふたり」
     監督:西川美和
2011 「一枚のハガキ」

一枚のハガキ

 監督:新藤兼人

新藤兼人監督の遺作となった。公開当時99歳。

太平洋戦争末期に徴兵された自らの戦争体験をもとに脚本を書いた。反戦の思いを込めた。

戦争で生き残った男と戦友の妻との交流を通じて、「戦争のばかばかしさ」が描かれる。戦地へ赴く兵士をくじ引きで決める印象的なシーンも、新藤監督自身の体験に基づいているという。

新藤監督は広島市出身。公私ともにパートナー(後に結婚)だった女優の乙羽信子さん(1994年没)とともに低予算のハンディや資金難をものともせず、数々の名作を世に送り出した。

主演・豊川悦司(当時49歳)、大竹しのぶ(当時54歳)

 Tsutaya→
  • 2位:
    「大鹿村騒動記」
     監督:阪本順治(さかもと・じゅんじ)
  • 3位:
    「冷たい熱帯魚」
     監督:園子温(その・しおん)
  • 4位:
    「まほろ駅前多田便利軒」
     監督:大森立嗣(おおもり・たつし)
  • 5位:
    「八日目の蝉」
     監督:成島出(なるしま・いづる)
  • 6位:
    「サウダーヂ」
     監督:富田克也
  • 7位:
    「東京公園」
     監督:青山真治
  • 8位:
    「モテキ」
     監督:大根仁(おおね・ひとし)
  • 9位:
    「マイ・バック・ページ」
     監督:山下敦弘(やました・のぶひろ)
  • 10位:
    「探偵はBARにいる」
     監督:橋本一(はしもと・はじめ)
2010 「悪人」

悪人

 監督:李相日(リ・サンイル)

「フラガール」でキネ旬ベスト1位を獲るなど国内映画賞を総なめにした李相日監督が、その次に撮った長編映画。

長崎県の漁師町に住む殺人犯の男(妻夫木聡)と、佐賀市の紳士服量販店に勤める女(深津絵里)。誰からも必要とされない孤独な2人が、出会い系サイトで巡り合う。 死んだように生きている男は、同様の寂しさを抱えた女と知り合うことで、変わっていく。

原作は人気作家・吉田修一の同名小説。

妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、柄本明の豪華キャスト。賞レースでは、俳優部門でも数々の賞に輝いた。

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  • 2位:
    「告白」
     監督:中島哲也
  • 3位:
    「ヘヴンズ ストーリー」
     監督:瀬々敬久(ぜぜ・たかひさ)
  • 4位:
    「十三人の刺客」
     監督:三池崇史
  • 5位:
    「川の底からこんにちは」
     監督:石井裕也
  • 6位:
    「キャタピラー」
     監督:若松孝二(わかまつ・こうじ)
  • 7位:
    「必死剣鳥刺し」
     監督:平山秀幸
  • 8位:
    「ヒーローショー」
     監督:井筒和幸
  • 9位:
    「海炭市叙景」
     監督:熊切和嘉(くまきり・かずよし)
  • 10位:
    「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」
     監督:石井隆

2000年代

2000年(第74回)~2009年(第83回)

09年 | 08年 | 07年 | 06年 | 05年 | 04年 | 03年 | 02年 | 01年 | 00年 | 

2010年代↑ | 2000年代 | 1990年代↓

1位(作品賞) 2~10位
2009 「ディア・ドクター」

ディア・ドクター

 監督:西川美和

医者不足が深刻化し、崩壊しつつある日本の地域医療。その在り方を考えさせる一本。

「ゆれる」で数々の映画賞に輝いた西川美和監督の3年ぶりの長編。一貫して人間の不可解さを描いてきた監督の代表作の一つとなった。

村にある診療所にたった1人いる伊野治医師(笑福亭鶴瓶)がいなくなった。 さかのぼること2カ月前、研修医の相馬(瑛太)がやって来る。田舎での仕事に戸惑っていたが、伊野や看護師の大竹(余貴美子)と一緒に仕事をするうちに、村人に慕われる伊野を尊敬するようになる。

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  • 2位:
    「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」
     監督:根岸吉太郎
  • 3位:
    「劔岳 点の記」
     監督:木村大作(きむら・だいさく)
  • 4位:
    「愛のむきだし」
     監督:園子温(その・しおん)
  • 5位:
    「沈まぬ太陽」
     監督:若松節朗
  • 6位:
    「空気人形」
     監督:是枝裕和(これえだ・ひろかず)
  • 7位:
    「ウルトラミラクルラブストーリー」
     監督:横浜聡子
  • 8位:
    「サマーウォーズ」
     監督:細田守
  • 9位:
    「誰も守ってくれない」
     監督:君塚良一
  • 10位:
    「風が強く吹いている」
     監督:大森寿美男(おおもり・すみお)
2008 「おくりびと」

おくりびと

 監督:滝田洋二郎

アカデミー賞で外国語映画賞に輝いた。亡くなった人を送る美しい所作にあふれた儀式や死者への尊厳、ユーモアも随所にあふれ、世界共通の共感を得た。

リストラされて故郷に戻ってきた元チェリストが、ひょんなことから納棺師に転職した。納棺師とは、遺体にきれいな死に化粧をし、死に装束を着せて、ひつぎに納める仕事である。

主演の本木雅弘(当時43歳)は、俳優という枠を越えて、本作の推進役となった。10数年前に訪れたインドで死者を見送る儀式を目にし、生と死が隣り合う死生観を体感した。その後、「納棺」の世界を知り、映画化の構想を温め、実現のため奔走した。

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  • 2位:
    「ぐるりのこと。」
     監督:橋口亮輔
  • 3位:
    「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」
     監督:若松孝二
  • 4位:
    「トウキョウソナタ」
     監督:黒沢清
  • 5位:
    「歩いても 歩いても」
     監督:是枝裕和(これえだ・ひろかず)
  • 6位:
    「闇の子供たち」
     監督:阪本順治(さかもと・じゅんじ)
  • 7位:
    「母べえ」
     監督:山田洋次
  • 8位:
    「クライマーズ・ハイ」
     監督:原田眞人
  • 9位:
    「接吻」
     監督:万田邦敏(まんだ・くにとし)
  • 10位:
    「アフタースクール」
     監督:内田けんじ
2007 「それでもボクはやってない」

それでもボクはやってない

 監督:周防正行(すお・まさゆき)

「Shall we ダンス?」(1996年)で一世を風靡した周防正行監督の11年ぶりの新作。刑事裁判の構造的な問題点を指摘する。

就職の面接を受けるため、満員電車に飛び乗ったフリーター(加瀬亮)。痴漢容疑で逮捕され、無縁だった裁判の世界へと引きずり込まれていく。

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  • 2位:
    「天然コケッコー」
     監督:山下敦弘(やました・のぶひろ)
  • 3位:
    「しゃべれども しゃべれども」
     監督:平山秀幸
  • 4位:
    「サッド ヴァケイション」
     監督:青山真治
  • 5位:
    「河童のクゥと夏休み」
     監督:原恵一
  • 6位:
    「サイドカーに犬」
     監督:根岸吉太郎
  • 7位:
    「松ヶ根乱射事件」
     監督:山下敦弘(やました・のぶひろ)
  • 8位:
    「魂萌え!」
     監督:阪本順治(さかもと・じゅんじ)
  • 9位:
    「夕凪の街 桜の国」
     監督:佐々部清
  • 10位:
    「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
     監督:吉田大八
2006 「フラガール」

フラガール

 監督:李相日(リ・サンイル)

 配給:シネカノン

さびれた炭鉱のまちが、ハワイ風の温泉レジャー施設の立ち上げによって再生を図る姿を描いた。群像ドラマ。この年の映画賞を総なめにした。商業的にも大成功した。

実話に基づいている。福島県の常磐ハワイアンセンター(スパリゾートハワイアンズ)がモデル。施設の目玉はフラダンスのショー。素人娘をダンサーにするために東京からダンス教師が招かれ、地元の娘たちが動き出す。

町を救うために夢に賭けた女たち、男たちの懸命に生きようとする力に満ちた渾身の一本。琴線に触れる人情物語であり、気持ちよく泣ける。

出演者の蒼井優、山崎静代(南海キャンディーズ)、松雪泰子らはフラダンスの特訓を重ねた。

李監督は1974年生まれ。両親は新潟朝鮮初中級学校元教師。新潟市出身で、4歳の時に家族で横浜へ転居した。日本映画学校の卒業制作「青〜chong〜」でぴあフィルムフェスティバルグランプリを受賞。そのスカラシップで制作した作品で新藤兼人賞に輝いた。

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  • 2位:
    「ゆれる」
     監督:西川美和
  • 3位:
    「雪に願うこと」
     監督:根岸吉太郎
  • 4位:
    「紙屋悦子の青春」
     監督:黒木和雄
  • 5位:
    「武士の一分」
     監督:山田洋次
  • 6位:
    「嫌われ松子の一生」
     監督:中島哲也
  • 7位:
    「博士の愛した数式」
     監督:小泉堯史(こいずみ・たかし)
  • 8位:
    「明日の記憶」
     監督:堤幸彦
  • 9位:
    「かもめ食堂」
     監督:荻上直子(おぎがみ・なおこ)
  • 10位:
    「カミュなんて知らない」
     監督:柳町光男
2005 「パッチギ」

パッチギ!

 監督:井筒和幸(いづつ・かずゆき)

在日朝鮮人と日本人の高校生たちの争いと恋愛を描いた。青春群像劇。 2000年代の日本映画界に新しい風を巻き起こした映画会社「シネカノン」(2010年に倒産)の代表作の一つ。

高度経済成長期の1968年の京都が舞台。 左翼学生運動が盛んだった時代である。 グループサウンズが流行していた。

平凡な高校生・康介(塩谷瞬)が主人公。一目ぼれの相手は、朝鮮高校のキョンジャ(沢尻エリカ)だ。 その兄・アンソン(高岡蒼佑)は朝鮮高校の番長だ。社会的背景を織り込みながら、朝鮮学校と日本人学校の生徒たちたちの姿を描く。

大ヒットしたザ・フォーク・クルセダーズの伝説的名曲「イムジン河」が全編に流れる。 朝鮮半島分断の悲劇を歌った曲だ。 当時、発売中止となった。 ストーリーと歌詞がシンクロする。 音楽は、ザ・フォーク・クルセダーズの加藤和彦氏が担当した。

「パッチギ」はハングルで「頭突き」を意味する。在日問題を真剣にとらえながら、泣き笑いもふんだんに盛り込んだ。恋物語を柱に、実際にあったバス横転や鴨川決闘など抗争のエピソードや、グループサウンズ、毛沢東語録、フリーセックスといった当時の風俗、社会現象も盛り込んだ。

シネカノンと井筒監督のコンビは、本作の前にも、「ゲロッパ!」「のど自慢」というヒット作を生み出していた。

出典:ムービーサーカス

1時間59分。

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  • 2位:
    「ALWAYS 三丁目の夕日」
     監督:山崎貴
  • 3位:
    「いつか読書する日」
     監督:緒方明
  • 4位:
    「メゾン・ド・ヒミコ」
     監督:犬童一心(いぬどう・いっしん)
  • 5位:
    「運命じゃない人」
     監督:内田けんじ
  • 6位:
    「リンダ リンダ リンダ」
     監督:山下敦弘(やました・のぶひろ)
  • 7位:
    「カナリア」
     監督:塩田明彦(しおた・あきひこ)
  • 8位:
    「男たちの大和 YAMATO」
     監督:佐藤純彌(さとう・じゅんや)
  • 9位:
    「空中庭園」
     監督:豊田利晃
  • 10位:
    「ゲルマニウムの夜」
     監督:大森立嗣(おおもり・たつし)
2004 「誰も知らない」

誰も知らない

 監督:是枝裕和(これえだ・ひろかず)

是枝監督の4本目の劇場用映画。 母親が姿を消し、アパートの一室に子供たちだけが残された。東京都内の2DKのアパート。 父親の違う4人の子供だ。 彼らは自分たちだけで生きようとする。 子供を取り巻く現代社会と、子供たちの内面を描いた。

1988年に実際にあった事件を基に、時代を現代にして、自由な発想で作られた。

テーマや子供たちの演技が大絶賛された。オーディションで選ばれた子供たちの、即興的な自由な演技を生かされたという。 カンヌ国際映画祭で、主役の少年を演じた中学3年生、柳楽優弥(やぎら・ゆうや=当時14歳)が男優賞に選ばれた。 14歳での男優賞は史上最年少記録だった。また、日本人の俳優部門での受賞は初めてだった。

撮影は2002年の秋から2003年の夏まで、四季の変化を取り込んで行われた。

出典:ムービーサーカス

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  • 2位:
    「血と骨」
     監督:崔洋一(さい・よういち)
  • 3位:
    「下妻物語」
     監督:中島哲也
  • 4位:
    「父と暮せば」
     監督:黒木和雄
  • 5位:
    「隠し剣 鬼の爪」
     監督:山田洋次
  • 6位:
    「理由」
     監督:大林宣彦
  • 7位:
    「スウィングガールズ」
     監督:矢口史靖(やぐち・しのぶ)
  • 8位:
    「ニワトリはハダシだ」
     監督:森崎東
  • 9位:
    「チルソクの夏」
     監督:佐々部清
  • 10位:
    「透光の樹」
     監督:根岸吉太郎
2003 「美しい夏キリシマ」

美しい夏キリシマ

 監督:黒木和雄

日本映画界の巨匠で、ドキュメンタリー映画出身の黒木監督の初の自伝的作品。1945年、宮崎県の霧島連山ふもとの農村で終戦を迎える少年の一夏を描いた戦争映画。

戦争の情景は描かれず、淡々と過ぎる銃後の生活が緑深く美しい霧島の映像とともにつづられる。

主人公の少年は、空襲で親友を目の前で失って以来、自分がなぜ生き残ったのか悩み続け、生きる意味が見いだせない。一方、大人たちも戦争で大切な人や信念を失っていく。それぞれが抱える心の闇が、美しい自然の中で一層深い穴のように黒々と描かれる。

撮影地は、中学生だった黒木監督が終戦を迎えた宮崎県えびの市。監督自身、空襲で11人の級友を亡くし、友人が目の前で死んだ経験も持つ。

主人公を演じるのは、本作がデビューとなった柄本明の息子・柄本佑で、15歳という不安定な少年期をみずみずしく演じている。共演は、原田芳雄、香川照之、石田えり、左時枝など実力派の俳優たちがそろう。彼らが、戦争に翻弄(ほんろう)されながらも与えられた時代を精いっぱい生きる人々を、虚飾を排した演技で演じている。

田村正毅のカメラが、雄大な霧島山や人々のたたずまいを美しくとらえた。

キネ旬ベストでは、監督賞、新人男優賞も受賞した。黒木監督は15年前「TOMORROW/明日」(1988年)で監督賞を受賞しながら、作品賞は逃していた。

予告編→
  • 2位:
    「赤目四十八瀧心中未遂」
     監督:荒戸源次郎
  • 3位:
    「ヴァイブレータ」
     監督:廣木隆一
  • 4位:
    「ジョゼと虎と魚たち」
     監督:犬童一心(いぬどう・いっしん)
  • 5位:
    「阿修羅のごとく」
     監督:森田芳光
  • 6位:
    「鏡の女たち」
     監督:吉田喜重
  • 7位:
    「座頭市」
     監督:北野武
  • 8位:
    「蕨野行」
     監督:恩地日出夫(おんち・ひでお)
  • 9位:
    「ドッペルゲンガー」
     監督:黒沢清
  • 10位:
    「ぼくんち」
     監督:阪本順治(さかもと・じゅんじ)
2002 「たそがれ清兵衛」

たそがれ清兵衛

 監督:山田洋次

幕末に生きる貧しい下級武士とその家族とのふれあい、友人の妹との恋模様などを描く人間ドラマ。

苦難の時代に生きる人々の心象風景をすくい取る繊細な演出が圧巻。色遣い、殺陣の構図など、洗練された映像の連続。 「大切なことだけを大切にしたシンプルなストーリーに、泣いてしまった」(当時19歳の宇多田ヒカル)など、世代を超えて絶賛された。

「男はつらいよ」の巨匠・山田監督にとって通算76作目の作品。原作は藤沢周平氏の同名小説と「祝い人助八」「竹光始末」。

幕末の庄内・海坂藩の貧乏下級藩士清兵衛(真田広之)は、老母と幼い娘2人を抱え、たそがれ時になると内職のために寄り道もせずまっすぐ自宅に帰る毎日。そんなある日、突然藩から剣の達人を斬ることを命じられ、清兵衛に思いを寄せる幼なじみの朋江(宮沢りえ)に別れを告げて戦いに赴く。

山田監督のデビュー作は61年の「二階の他人」。国民的人気シリーズ映画「男はつらいよ」全48作や「学校」シリーズのほか「幸福の黄色いハンカチ」「虹をつかむ男」などが代表作。

出典:ムービーサーカス

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  • 2位:
    「刑務所の中 DOING TIME」
     監督:崔洋一(さい・よういち)
  • 3位:
    「KT」
     監督:阪本順治(さかもと・じゅんじ)
  • 4位:
    「OUT」
     監督:平山秀幸
  • 5位:
    「AIKI」
     監督:天願大介
  • 6位:
    「笑う蛙」
     監督:平山秀幸
  • 7位:
    「阿弥陀堂だより」
     監督:小泉堯史(こいずみ・たかし)
  • 8位:
    「ごめん」
     監督:冨樫森(とがし・しん)
  • 9位:
    「ピンポン」
     監督:曽利文彦
  • 10位:
    「とらばいゆ」
     監督:大谷健太郎
2001 「GO」

GO

 監督:行定勲(ゆきさだ・いさお)

主人公は、在日韓国人の少年。 日本人少女との恋愛、父親との葛藤(かっとう)、友人の死などを通して成長していく物語。 差別や偏見に悩み苦しみながら、自らのアイデンティティーを確立していく。

高校3年の杉原(窪塚洋介)は在日韓国人。偶然知り合った美少女、桜井(柴咲コウ)と恋に落ち、国籍を明かさぬまま、デートを重ねるが、自分に決着をつけるためついに告白する。

原作は、小説家・金城一紀(かねしろ・かずき)の小説。 前年に直木賞を受賞していた。 金城氏の半自伝的な要素もある。

行定監督にとって初めてのメジャー作品だった。 この3年後に、「世界の中心で、愛をさけぶ」も大ヒットさせた。

主演の窪塚洋介は、アクションスター的なしなやか動きを披露。その一方で、破天荒な振る舞いと裏腹に、ルーツと向き合う悩み、恋に落ちた切なさをリアルに表現した。

明るくマイペースな主人公の母を大竹しのぶ、強烈な個性で息子を導く元ボクサーの父を山崎努が演じる。

出典:ムービーサーカス

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  • 2位:
    「ハッシュ!」
     監督:橋口亮輔
  • 3位:
    「千と千尋の神隠し」
     監督:宮崎駿
  • 4位:
    「EUREKA(ユリイカ)」
     監督:青山真治
  • 5位:
    「風花」
     監督:相米慎二(そうまい・しんじ)
  • 6位:
    「リリイ・シュシュのすべて 」
     監督:岩井俊二
  • 7位:
    「まぶだち」
     監督:古厩智之(ふるまや・ともゆき)
  • 8位:
    「ウォーターボーイズ」
     監督:矢口史靖(やぐち・しのぶ)
  • 9位:
    「光の雨」
     監督:高橋伴明(たかはし・ばんめい)
  • 10位:
    「赤い橋の下のぬるい水」
     監督:今村昌平(いまむら・しょうへい)
2000 「顔」

顔

 監督:阪本順治(さかもと・じゅんじ)

弾みで妹を殺してしまった引きこもりの中年女性が、逃亡先でいろいろな人たちと出会い、変身していく物語。

喜劇女優の藤山直美が映画初主演。

阪本順治監督は1958年10月、大阪府堺市生まれ。横浜国大在学中に石井聰亙、井筒和幸、川島透らの監督のもとでスタッフとして撮影に参加。1989年、赤井英和を起用した「どついたるねん」で監督デビュー。「トカレフ」「ビリケン」「新・仁義なき戦い」など話題作をコンスタントに撮り続けてきた。
  • 2位:
    「ナビィの恋」
     監督:中江裕司
  • 3位:
    「御法度」
     監督:大島渚
  • 4位:
    「十五才 学校IV」
     監督:山田洋次
  • 5位:
    「バトル・ロワイアル」
     監督:深作欣二
  • 6位:
    「三文役者」
     監督:新藤兼人(しんどう・かねと)
  • 7位:
    「スリ」
     監督:黒木和雄
  • 8位:
    「独立少年合唱団」
     監督:緒方明
  • 9位:
    「雨あがる」
     監督:小泉堯史(こいずみ・たかし)
  • 10位:
    「はつ恋」
     監督:篠原哲雄
(データ分析・出典:Hitomi AI

1990年代

1990年(第64回)~1999年(第73回)

99年 | 98年 | 97年 | 96年 | 95年 | 94年 | 93年 | 92年 | 91年 | 90年 | 

2000年代↑ | 1990年代 | 1980年代↓




【他の部門】
■外国映画ベストテン
(1)美しき諍い女(さかいめ)(仏)(2) 嶺街殺人事件(台湾)(3)こうのとり、たちずさんで(ギリシャ)(4)仕立て屋の恋(仏)(5)バートン・フィンク(米)(6)ウルガ(仏=旧ソ連)(7)プリティ・リーグ(米)(8)フライド・グリーン・トマト(米)(9)JFK(米)(10)ナイト・オン・ザ・プラネット(米)

日本映画、外国映画ともにミニシアター系作品が寡占したことについて、キネマ旬報の植草信和編集長は「芸術映画回帰ではなく単に大手が低調だっただけ」と語った。
1位(作品賞) 2~10位
1999 「あ、春」

あ、春

 監督:相米慎二(そうまい・しんじ)

邦画界の若き巨匠、相米慎二監督の「夏の庭」以来、4年ぶりの新作。 2001年9月に53歳で肺癌による亡くなる3年前に公開された。最後から2作目の作品。

相米監督にとって本作が唯一のキネ旬ベスト1位となった。キネ旬受賞の後に開催されたベルリン国際映画祭で、国際批評家連盟賞を受賞した。

死んだと思っていた父親が突然現れたことによる家族の混乱を描くコメディ。原作は村上政彦の小説「ナイスボール」。

主演は佐藤浩市。その実母役を、かつての東映の看板女優・富司純子が好演し、キネ旬の助演女優賞に選ばれた。相米監督は若いころから富司さんの大ファンだったという。監督によると、最初は「あいまいさんってだれ?」と言っていたようだが、娘の寺島しのぶさんが出演するように説得してくれたらしい。妻役は斉藤由貴。

【あらすじ】主人公は、30代半ばの働き盛りの証券マン。良家の子女と逆玉的に結婚し、妻の実家で暮らしている。不況の中、会社が倒産の危機にひんしていたり、妻がときおり神経症の発作を起こしたりと、それなりの心配ごとはあるが、それでも十分満ち足りた暮らしを送っていた。そんな彼の前に、ある日突然見知らぬ男が現れ、死んだと聞かされていた父だと名乗る。母に問い詰めるとどうやら本当らしい。見知らぬ男は、家に住み着いてしまうのだった。

予告編→


【その他の受賞】 監督賞「金融腐蝕列島 呪縛」の原田眞人監督。主演男優賞「鉄道員(ぽっぽや)」の高倉健、主演女優賞「39 刑法第三十九条」の鈴木京香。 外国映画の1位は「恋におちたシェイクスピア」。

外国映画監督賞=テレンス・マリック(「シン・レッド・ライン」)▽脚本賞=高杉良、鈴木智、木下麦太(「金融腐蝕列島 呪縛」)▽助演女優賞=富司純子(「あ、春」ほか)▽助演男優賞=椎名桔平(「金融腐蝕列島 呪縛」ほか)▽新人女優賞=池脇千鶴(「大阪物語」)▽新人男優賞=北村一輝(「皆月」ほか)▽文化映画作品賞=「問題はこれからです 続・住民が選択した町の福祉」
  • 2位:
    「金融腐蝕列島 呪縛」
     監督:原田眞人
  • 3位:
    「39 刑法第三十九条」
     監督:森田芳光
  • 4位:
    「鉄道員(ぽっぽや)」
     監督:降旗康男(ふるはた・やすお)
  • 5位:
    「M/OTHER」
     監督:諏訪敦彦(すわ・のぶひろ)
  • 6位:
    「のど自慢」
     監督:井筒和幸
  • 7位:
    「菊次郎の夏」
     監督:北野武
  • 8位:
    「大阪物語」
     監督:市川準
  • 9位:
    「どこまでもいこう」
     監督:塩田明彦(しおた・あきひこ)
  • 10位:
    「コキーユ 貝殻」
     監督:中原俊
1998 「HANA-BI」

HANA-BI

 監督:北野武(ビートたけし)

1997年9月開催のベネチア国際映画祭で最高賞の「金獅子賞」を受賞した。日本映画として史上3回目の快挙だった。(歴代の日本映画の金獅子賞→

「ソナチネ」(1993年)以来4年ぶりに、北野武が監督・主演を務めた作品。

末期がんに侵された妻役を岸本加世子が演じ、その夫婦愛と男の美学が交差してゆく悲劇的な運命を独特のタッチで描いた。北野監督直筆の絵画も数多く登場する。音楽は「もののけ姫」の久石譲が担当。共演は大杉漣、寺島進ら。

映画評論家・淀川長治は「柔らかさと残酷さを併せ持った映画らしい作品」と絶賛した。

予告編→
  • 2位:
    「愛を乞うひと」
     監督:平山秀幸
  • 3位:
    「がんばっていきまっしょい」
     監督:磯村一路(いそむら・いつみち)
  • 4位:
    「カンゾー先生」
     監督:今村昌平
  • 5位:
    「CURE キュア」
     監督:黒沢清
  • 6位:
    「学校3」
     監督:山田洋次
  • 7位:
    「犬、走る DOG RACE」
     監督:崔洋一(さい・よういち)
  • 8位:
    「愚か者 傷だらけの天使」
     監督:阪本順治(さかもと・じゅんじ)
  • 9位:
    「時雨の記」
     監督:澤井信一郎
  • 10位:
    「絆-きずな-」
     監督:根岸吉太郎
1997 「うなぎ」

うなぎ

 監督:今村昌平

カンヌ国際映画祭で最高賞(パルムドール)に輝いた。日本映画として4作目。しかも、今村監督は1983年の「楢山節考」に続いて2度目のカンヌ最高賞。世界で史上4人目の快挙だった。

浮気した妻を殺し、服役後に出所した男(役所広司)が主人公。うなぎにしか本音を明かさない閉じた心が、やはり暗い過去を持つ女性(清水美砂)との触れ合いを通して、徐々にいやされていく姿を、ユーモアを交えながら描いている。原作は吉村昭氏の「闇にひらめく」。

「われわれが住んでいる複雑な社会を表現している。内なる叫び、欲望、狂気のはけ口を兼ね備えた作品」などと絶賛された。

予告編→
  • 2位:
    「もののけ姫」
     監督:宮崎駿
  • 3位:
    「ラヂオの時間」
     監督:三谷幸喜
  • 4位:
    「東京夜曲」
     監督:市川準
  • 5位:
    「鬼火」
     監督:望月六郎
  • 6位:
    「バウンス ko GALS」
     監督:原田眞人
  • 7位:
    「誘拐」
     監督:大河原孝夫
  • 8位:
    「身も心も」
     監督:荒井晴彦
  • 9位:
    「東京日和」
     監督:竹中直人
  • 10位:
    「瀬戸内ムーンライト・セレナーデ」
     監督:篠田正浩
  • 10位:
    「萌の朱雀」
     監督:河瀬直美
1996 「Shall we ダンス?」

Shall we ダンス?

 監督:周防正行(すお・まさゆき)

1992年「シコふんじゃった」に続いて2度目の周防監督作のベスト1位となった。

アメリカで大ヒットした極めて珍しい実写邦画として、歴史に名を刻んだ。北米興収は950万ドル(11億円)で、エクシブ投資顧問によると、アニメ(ポケモンなど)や怪獣映画(ゴジラなど)を除けば、「子猫物語」(1986年)に次ぐ記録。

40代の中年サラリーマンの淡いラブストーリー。社交ダンスの魅力を織り込みながら、ちょっぴりほろ苦い人間模様を描いた。

日本国内で配収15億円(興収は30億円くらい)を稼ぎ、約200万人を動員する大ヒットになった。社交ダンスがブームになるなど、社会現象にもなった。

キネ旬ベストでは作品賞のほか、脚本賞(周防正行)、主演男優賞(役所広司)、助演女優賞(草村礼子)、新人女優賞(草刈民代)を獲得した。

毎日映画コンクールや日本アカデミー賞でも作品賞を獲り、この年の賞レースで独走した。

周防監督は1956年東京生まれ。立教大学(文学部)在学中から助監督を務め、1984年「変態家族・兄貴の嫁さん」で監督デビュー。本作公開から2か月後に主演の草刈民代と結婚した。

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【他の部門】
監督賞は「眠る男」の小栗康平監督、主演女優賞は「絵の中のぼくの村」の原田美枝子、日本映画監督賞は「眠る男」の小栗康平監督、主演女優賞は「絵の中のぼくの村」の原田美枝子、外国映画1位は「イル・ポスティーノ」(マイケル・ラドフォード監督)。外国映画監督賞は「アンダーグラウンド」のエミール・クストリッツァ監督
  • 2位:
    「キッズ・リターン」
     監督:北野武
  • 3位:
    「眠る男」
     監督:小栗康平(おぐり・こうへい)
  • 4位:
    「(ハル)」
     監督:森田芳光
  • 5位:
    「絵の中のぼくの村」
     監督:東陽一(ひがし・よういち)
  • 6位:
    「岸和田少年愚連隊」
     監督:井筒和幸
  • 7位:
    「トキワ荘の青春」
     監督:市川準
  • 8位:
    「学校II」
     監督:山田洋次
  • 9位:
    「ビリケン」
     監督:阪本順治(さかもと・じゅんじ)
  • 10位:
    「シャブ極道」
     監督:細野辰興(ほその・たつおき)
1995 「午後の遺言状」

午後の遺言状

 監督:新藤兼人(しんどう・かねと)

終末期の生き方や認知症がテーマ。ユーモラスで皮肉たっぷりの会話劇のやりとりの中にさりげなく「老い」を描く。「生への賛歌」として絶賛された。

東京の単館公開でスタート。19週のロングランとなった。その後、全国公開へと拡大した。

新劇の大女優(杉村春子)が、山荘に避暑にやって来た。ここを管理しているのは近所に住む女性(乙羽信子)。10日ほどの予定でのんびり静養しようかと考えていた矢先、認知症を患う親友とその夫が急に訪ねて来る。

絶妙なテンポや間(ま)合いで、四者四様の人間模様を映し出す。

新藤兼人監督である女優・乙羽信子さんの遺作になった。

乙羽さんは1993年7月に肝臓がんの手術を受けた。しかし、新藤監督は医者から「あと1年から1年半の命」と告げられた。映画出演を医者に話すと、無謀だと反対されたが、最後は了承を取り付けた。撮影は1994年5月に開始された。

乙羽さんは週1回抗がん剤を打ちながらこの思いにこたえた。映画の完成を試写で確認した2か月後の1994年12月22日、亡くなった。享年70歳。

40年余り名コンビとして乙羽さんとともに映画に打ち込んできた新藤監督は「人生最後の時を女優として生き抜いてほしい」とシナリオを執筆。余命宣告を本人には知らせないまま撮影に入ったという。

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  • 2位:
    「東京兄妹」
     監督:市川準
  • 3位:
    「Love Letter」
     監督:岩井俊二
  • 4位:
    「幻の光」
     監督:是枝裕和(これえだ・ひろかず)
  • 5位:
    「写楽」
     監督:篠田正浩
  • 6位:
    「ガメラ 大怪獣空中決戦」
     監督:金子修介
  • 7位:
    「深い河」
     監督:熊井啓
  • 8位:
    「KAMIKAZE TAXI」
     監督:原田眞人
  • 9位:
    「マークスの山」
     監督:崔洋一(さい・よういち)
  • 10位:
    「TOKYO FIST 東京フィスト」
     監督:塚本晋也
  • 10位:
    「渚のシンドバッド」
     監督:橋口亮輔
1994 「全身小説家」

全身小説家

 監督:原一男

「ゆきゆきて、神軍」(1987年キネ旬2位)で全国に衝撃を与えた原一男監督が、5年の歳月をかけて撮った作家・井上光晴に関するドキュメンタリー。日本の戦後文学を代表する作家、井上光晴の「虚構と現実」に迫る。

井上氏は大腸がん、肝臓がん、肺がんと闘い抜いて1992年5月、66歳で亡くなった。死因は癌性腹膜炎。その2年前に肝臓を切り取る手術をカメラに収めている。

その後、点滴を受けながら執筆活動を続けるバイタリティーに舌を巻く。瀬戸内寂聴、埴谷雄高ら文壇仲間との交流、自ら創設した文学伝集所の人々との交わりなども、カメラはとらえた。

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  • 2位:
    「忠臣蔵外伝・四谷怪談」
     監督:深作欣二
  • 3位:
    「居酒屋ゆうれい」
     監督:渡邊孝好
  • 4位:
    「棒の哀しみ」
     監督:神代辰巳(くましろ・たつみ)
  • 5位:
    「夏の庭 The Friends」
     監督:相米慎二(そうまい・しんじ)
  • 6位:
    「119」
     監督:竹中直人
  • 7位:
    「800 TWO LAP RUNNERS」
     監督:廣木隆一
  • 8位:
    「平成狸合戦ぽんぽこ 」
     監督:高畑勲
  • 9位:
    「愛の新世界」
     監督:高橋伴明
  • 10位:
    「毎日が夏休み」
     監督:金子修介
1993 「月はどっちに出ている」

月はどっちに出ている

 監督:崔洋一(さい・よういち)

在日朝鮮人・韓国人の織り成す人間模様を、乾いた笑いの中で描いた。タブー扱いされていたテーマを取り上げ、芸術的に深刻ぶらないエンタメとして構築した快作として称賛された。

原作は、粱石日さんが自身の体験をもとに書いたベストセラー小説「タクシー狂躁曲」。在日朝鮮人のタクシー運転手(岸谷五朗)を主人公に、彼を取り巻く人々の日常をコミカルに描いている。崔洋一監督自身が在日朝鮮人二世で、初めて同胞をとりあげた作品でもある。

崔監督は企画を数社に持ち込んだが、テーマが難しくて尻込みされたという。シネカノンが1億2000万円の製作費を出資し、実現にこぎつけた。

崔監督は監督賞、脚本賞も受賞。ルビー・モレノが主演女優賞を受賞した。

【配信:アマゾン


【他の部門】
外国映画は「許されざる者」がベストワンに輝いた。真田広之が「僕らはみんな生きている」「眠らない街・新宿鮫」で主演男優賞。「怪盗ルビィ」に続く2度目の受賞。

日本映画ベストテン内にはミニシアター系の作品が八本もあり、小品ながら完成度の高い作品が並んだ。
  • 「お引越し」
  • 「病院で死ぬということ」
  • 「ソナチネ」
  • 「僕らはみんな生きている」
  • 「学校」
  • 「愛について、東京」
  • 「わが愛の譜 滝廉太郎物語」
  • 「ヌードの夜」
  • 「まあだだよ」
1992 「シコふんじゃった」

シコふんじゃった

 監督:周防正行(すお・まさゆき)

廃部寸前の大学相撲部を題材にした喜劇。コミカルな青春群像が描かれる。笑わせるだけでなく、ストレートな青春映画のような感動をもらした。

この相撲部はリーグで万年最下位、しかも部員不足で最低5人が必要な団体戦への参加も危ぶまれている状況だ。部長を務める教授(柄本明)は単位取得と引き換えに落第スレスレの生徒を相撲部に勧誘する。集まった5人は本木雅弘ら不純な動機の新入部員4人と、相撲オタクだが本番になると緊張から下痢になる古参(竹中直人)一人。当初はもちろん連戦連敗だ。だが、青白い医大にも敗退した時、本木選手のやる気に火がつく。

周防監督の一般映画の2作目。この年の賞レースを総なめにした。

(配給:大映)

 予告編(Amazon)→
  • 「青春デンデケデケデケ」(独立系)
    ※エレキギターにしびれた高校生たちの時代を活写
  • 「阿賀に生きる」(独立系)
  • 「紅の豚」(徳間書店他)
  • 「死んでもいい」(アルゴ)
  • 「橋のない川」(西友)
    ※差別されることを知った農村の若者のひたむきに生きる姿をとらえた。
  • 「いつかギラギラする日」(松竹他)
  • 「寝盗られ宗介」(バンダイ)
  • 「豼ケ東綺譚」(独立系)
  • 「きらきらひかる」(アルゴ)
1991 「息子」

息子

 監督:山田洋次

 予告編(Amazon)→
  • 「大誘拐 RAINBOW KIDS」
  • 「八月の狂詩曲」
  • 「無能の人」
  • 「ふたり」
  • 「あの夏、いちばん静かな海。」
  • 「12人の優しい日本人」
  • 「王手」
  • 「おもひでぽろぽろ」
  • 「四万十川」
1990 「櫻の園」

櫻の園

 監督:中原俊

22人の新人女優で現代の女子校を描いた異色映画。

原作は吉田秋生の同名漫画。高校の創立記念日にチェーホフの「櫻の園」を上演する演劇部の学生たちの上演直前の2時間にスポットを当て、悲喜こもごものエピソードが最後に一つに収束する集団劇の趣。出演者は新人ばかりとあって、撮影前には異例の2カ月に及ぶリハーサルが繰り返された。

配給は、新興の映画会社「アルゴプロジェクト」。エクシブ投資顧問によると、アルゴプロジェクト(略称:アルゴ)は、日本映画を支える独立プロダクション(制作会社)の代表たちが設立した。キティ・フィルムの伊地智啓、ニューセンチュリー・プロデューサーズの岡田裕ら6人のプロデューサーが参加した。自分たちの背丈に合った中規模の映画を自主製作する。場合によっては配給も自ら行うという画期的な挑戦だった。参加したプロデューサーらは、過去に「セーラー服と機関銃」「家族ゲーム」などの傑作を手掛けてきた。それまでは大手映画会社と提携したが、製作段階から、配役や団体前売り券などについての要求が多く、作り手の意向が軽視されがちだったことの疑問を抱いていたようだ。

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  • 「少年時代」
  • 「死の棘(とげ)」
  • 「夢」
  • 「バタアシ金魚」
  • 「われに撃つ用意あり」
  • 「3-4X10月」
  • 「浪人街」
  • 「つぐみ」
  • 「白い手」

1980年代

1980年(第54回)~1989年(第63回)

89年 | 88年 | 87年 | 86年 | 85年 | 84年 | 83年 | 82年 | 81年 | 80年 | 

1990年代↑ | 1980年代 | 1970年代↓

1位(作品賞) 2~10位
1989 「黒い雨」

黒い雨

 監督:今村昌平

白黒映画の傑作。原爆の二次被爆の後遺症で結婚問題に悩む若い娘と、その娘と同居して励まし合いながら生きる夫婦を、のどかな田園地帯を背景に描いている。

原作は井伏鱒二。ごく平凡な夫婦と、年ごろの姪を主人公に、広島の被爆者の体験をつづった戦争文学の名作。

黒白撮影の卓越した技術が称賛され、カンヌ国際映画祭で高等技術委員会技術大賞に輝いた。

 Amazon→
  • 「どついたるねん」
  • 「千利休 本覺坊遺文」
  • 「ウンタマギルー」
  • 「魔女の宅急便」
  • 「北京的西瓜」
  • 「利休」
  • 「その男、凶暴につき」
  • 「社葬」
  • 「あ・うん」
1988 「となりのトトロ」

となりのトトロ

 監督:宮崎駿

キネ旬史上初めてアニメが作品賞を受賞した。

子供たちと不思議な生き物トトロとの交流を描く。心温まるファンタジーであり、国民的な一作。 大人が観ても癒され、素直に感動させられる普遍的な名作として語り継がれている。

それまで作品に西洋的な背景を多く用いていた宮崎監督が、昭和30年代の日本を舞台に描いた。 古き良き日本の原風景のなか、のびのびと育つ子供たちの躍動感を呼ぶ。

幼児の情操教育に欠かせない作品になった。 井上あずみが歌う主題歌も長年にわたって子供たちの定番曲となった。

この後、トトロはジブリはシンボルマークとして使われるようになった。 また、子供の成長物語をからめた楽天的な世界観を持つ活劇というスタイルは、宮崎作品のパターンの一つとして定着していくことになった。

日本の2大映画賞であるキネマ旬報と「毎日映画コンクール」でそろって最高賞を獲得した。 ※出典・参照:ジブリ 一覧

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【他の部門】
■外国映画ベストテン
(1)ラストエンペラー(2)フルメタル・ジャケット(3)ベルリン・天使の詩(4)8月の鯨(5)芙蓉鎮(6)黒い瞳(7)ザ・デッド(8)存在の耐えられない軽さ(9)愛と宿命の泉(10)月の輝く夜に
■監督賞
黒木和雄(「TOMORROW/明日」)
■外国映画監督賞
スタンリー・キューブリック(「フルメタル・ジャケット」)
■脚本賞
荒井晴彦(「噛む女」「リボルバー」)
■主演女優賞
桃井かおり(「TOMORROW/明日」「木村家の人びと」)
■主演男優賞
真田広之(「快盗ルビイ」)
■助演女優賞
秋吉久美子(「異人たちとの夏」)
■助演男優賞
片岡鶴太郎(「異人たちとの夏」)
■新人女優賞
中川安奈(「敦煌」)
■新人男優賞
緒形直人(「優駿」)
■文化映画第1位
ぶんきょうゆかりの文人たち(時枝俊江監督、文京区教育委員会、岩波映画製作所)
■読者選出日本映画1位
「となりのトトロ」
■外国映画第1位
ロボコップ
  • 「TOMORROW/明日」
  • 「異人たちとの夏」
  • 「ロックよ、静かに流れよ」
  • 「郷愁」
  • 「火垂るの墓」
  • 「さくら隊散る」
  • 「木村家の人びと」
  • 「リボルバー」
  • 「快盗ルビイ」
1987 「マルサの女」

マルサの女

 監督:伊丹十三(いたみ・じゅうぞう)

「お葬式」「タンポポ」に続いて伊丹監督を超一級として認知させた傑作。

脱税を摘発する国税庁の女性査察官の活動ぶりを描いた。脱税で悪名の高いラブホテル経営者と国税局査察部(マルサ)との知恵の限りを尽くした駆け引きが展開される。歯切れが良く、躍動感に満ちている。

密度の濃い秀作。斬新な犯罪サスペンスであり、娯楽性もたっぷり。

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  • 「ゆきゆきて、神軍」
  • 「1000年刻みの日時計 牧野村物語」
  • 「永遠の1/2」
  • 「映画女優」
  • 「男はつらいよ 知床慕情」
  • 「女衒」
  • 「BU・SU」
  • 「光る女」
  • 「ちょうちん」
1986 「海と毒薬」

海と毒薬

 監督:熊井啓(くまい・けい)

ベルリン国際映画祭の銀熊賞にも輝くなど、世界的に評価された一作。熊井啓監督賞にとって「忍ぶ川」「サンダカン八番娼館 望郷」に次ぐ3度目のキネ旬1位となった。

第二次大戦末期、九州大学で起きた米軍捕虜の生体解剖、いわゆる「相原事件」が素材。日本の戦中戦後史の暗部に迫った遠藤周作氏の原作を、執念で映画化した。

熊井監督は社会派作品から文芸作品まで数多くの秀作映画を手掛けた巨匠の代表作の一つ。

1930年長野県生まれ。戦時中は徹底的に軍国少年としての教育を受けた。終戦後、あらゆる国の新旧の映画が洪水のように入ってきて「世界にはこんな素晴らしい映画があったのか」と感動。映画監督を目指すきっかけとなった。

信州大学を卒業後、独立プロを経て、1954年に日活撮影所の助監督部に入社。帝銀事件をドキュメンタリー風に描いた「帝銀事件 死刑囚」で監督デビューした。

九州から東南アジアに出稼ぎに出た女性を描いた「サンダカン八番娼館 望郷」ではアカデミー外国語映画賞にノミネートされた。

三船敏郎、石原裕次郎共演の「黒部の太陽」を大ヒットさせ、日活を退社。フリーの立場で次々と名作を生んだ。

本作でベルリン国際映画祭の銀熊賞に輝いた翌年、「千利休 本覺坊遺文(ほんかくぼう・いぶん)」でベネチア国際映画祭の監督賞(銀獅子賞)を受賞した。

2001年には「松本サリン事件」を題材にした「日本の黒い夏 冤罪」でベルリン国際映画祭特別功労賞を受賞。

2007年、クモ膜下出血で倒れ死去。享年76歳。映画への情熱は冷めることなく、亡くなったときに3本の企画を進行していた。

※出典・参照:ベネチア国際映画祭 日本人

 予告編(Amazon)→


【他の部門】
■外国映画
(1)ストレンジャー・ザン・パラダイス(ジム・ジャームッシュ)(2)カイロの紫のバラ(ウッディ・アレン)(3)蜘蛛女のキス(ヘクトール・バベンコ)(4)ラウンド・ミッドナイト(ベルトラン・タベルニエ)(5)パパは、出張中!(エミール・クストリッツァ)(6)カラーパープル(スティーブン・スピルバーグ)(7)ホテル・ニューハンプシャー(トニー・リチャードソン)(8)未来世紀ブラジル(テリー・ギリアム)(9)エイリアン2(ジェイムズ・キャメロン)(10)群れ(ユルマズ・ギュネイ)
■監督賞
熊井啓(海と毒薬)
■脚本賞
森田芳光(ウホッホ探険隊ほか)
■主演女優賞
秋野暢子(片翼だけの天使)
■主演男優賞
内田裕也(コミック雑誌なんかいらない!)
■助演女優賞
いしだあゆみ(火宅の人、ほか)
■助演男優賞
植木等(新・喜びも悲しみも幾歳月、ほか)
■新人女優賞(新設)
斉藤由貴(恋する女たち)
■新人男優賞(同)
石橋凌(ア・ホーマンス、ほか)
■外国映画監督賞
ジム・ジャームッシュ
  • 「コミック雑誌なんかいらない!」
  • 「ウホッホ探険」
  • 「人間の約束」
  • 「火宅の人」
  • 「鑓の権三」
  • 「恋する女たち」
  • 「天空の城ラピュタ」
  • 「キネマの天地」
  • 「ジャズ大名」
1985 「それから」

それから

 監督:森田芳光(よしみつ)

前々年の「家族ゲーム」に続いて、森田芳光監督作の受賞となった

「三四郎」「門」と並ぶ夏目漱石の恋愛3部作の一作を森田氏が手掛けた。松田優作、藤谷美和子、小林薫ら出演。

映画評論家・西村雄一郎氏は、小説「それから」を森田監督が映画化すると聞いた時は、全く驚かなかったと、佐賀新聞のコラムに書いている。むしろ「当然の帰結とさえ思った」という。その理由は「漱石がいち早く描いたものは、現代でいわれる『モラトリアム(執行猶予)人間』や、『シゾイド(分裂)人間』が抱える愛情の苦悩だったからだ」という。

 予告編(Amazon)→
  • 「乱」
  • 「火まつり」
  • 「台風クラブ」
  • 「さびしんぼう」
  • 「恋文」
  • 「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」
  • 「ビルマの竪琴」
  • 「早春物語」
  • 「花いちもんめ」
1984 「お葬式」

お葬式

 監督:伊丹十三

俳優だった伊丹十三の初めての監督作品。51歳での監督デビューだった。

日本独特の葬式を多分に皮肉りながら、その隙間に走り回る人間たちをカリカチュアライズ。、それまで日本映画がタブー視していたテーマをあえて取り上げて成功した。

伊丹氏は映画会社各社に企画を持ち掛けたが断られ、ATG(日本アート・シアター・ギルド)の配給で実現した。

 Amazon→
  • 「Wの悲劇」
  • 「瀬戸内少年野球団」
  • 「麻雀放浪記」
  • 「さらば箱舟」
  • 「おはん」
  • 「風の谷のナウシカ」
  • 「伽揶子のために」
  • 「廃市」
  • 「チ・ン・ピ・ラ」
1983 「家族ゲーム」

お葬式

 監督:森田芳光

(日活、ニュー・センチュリー・プロデューサーズ、ATG提携作品)

森田芳光の2作目の劇場公開作。当時33歳。新しい家庭教師を迎えたことで、家族に起きる変化を描いたコメディー。

後年、キネ旬の投票で「1980年代(1980年~89年)映画ベスト」の1位に選ばれた。

都会の団地生活に見る一つの家族模様を切り取った。横一列に並び座る食卓の風景で空疎な時代の空気を描写。現代の中流家庭が抱える受験戦争やいじめ、さりげない夫婦のあり方などの問題を、受験生の息子を中心にシニカルに淡々と、渇いたユーモアを交えて描いた。

製作費は4000万円。撮影は日活のセットを中心に東京・下町の団地、学校、運河沿いの土手などを東京湾・月島周辺でロケ。出演者にはギャラで泣いてもらい、約1ヶ月で仕上げたという。

【あらすじ】団地に住む四人家族のもとに、松田優作が演じる三流大学七年生の家庭教師が現れる。中学三年で受験を控えた成績の良くない二男を、脅したりなだめたりして変えていく。

森田芳光監督は1950年1月25日生まれ。東京都出身。日本大学芸術学部放送学科に在学中から、8ミリ映画を自主製作。1981年「の・ようなもの」で劇場映画デビュー。「家族ゲーム」で評価を高め、日本を代表する映画監督に。1998年には、役所広司と黒木瞳が不倫のカップルを演じた「失楽園」のメガホンも取り、社会現象にもなった。

斬新なテーマやスタイルで映画作りに挑み続け、ユーモア漂う独特の語り口で軽やかに時代を切り取った。

 予告編(Amazon)→
  • 「細雪」
  • 「戦場のメリークリスマス」
  • 「東京裁判」
  • 「楢山節考」
  • 「竜二」
  • 「魚影の群れ」
  • 「天城越え」
  • 「十階のモスキート」
  • 「ふるさと」
1982 「蒲田行進曲」

蒲田行進曲

 監督:深作欣二

映画製作の舞台裏の物語。人気沸騰の演劇人つかこうへいの原作・脚本を、ヤクザ映画で有名な深作欣二が監督。エネルギッシュな演出が光る。

角川春樹事務所と松竹の提携映画だが、舞台は東映の京都撮影所。

【あらすじ】俳優の銀ちゃん(風間杜夫)は、主役の座を奪われそうになり焦り気味。興行界実力者の娘との結婚話が持ち上がり、腐れ縁の元女優、小夏(松坂慶子)を、子分の大部屋役者ヤス(平田満)に下げ渡す。

 Amazon→
  • 「さらば愛しき大地」
  • 「転校生」
  • 「疑惑」
  • 「ニッポン国・古屋敷村」
  • 「TATTOO<刺青>あり」
  • 「水のないプール」
  • 「遠野物語」
  • 「誘拐報道」
  • 「怪異談 生きてゐる小平次」
1981 「泥の河」

泥の河

 監督:小栗康平

小栗康平監督の衝撃のデビュー作。少年の悲しみを静かに、痛切に描いた。

白黒映画。1956年(昭和31年)の大阪が舞台。戦後の混乱がどうにか落ち着いて、高度経済成長期に突入するが、その波に取り残された人たちの物語。

ドブ川の岸にへばりついているような食堂を経営する夫婦の息子と、その対岸に現れた廓(くるわ)舟の姉弟とのつかのまの交流が描かれる。夫婦役に田村高廣、藤田弓子。姉弟の母親役・加賀まりこ。

1977年に太宰治賞を受賞した宮本輝の同名小説が原作。

モスクワ映画祭銀賞受賞。

小栗監督はこの後、「伽耶子(かやこ)のために」「死の棘」など文芸作品に基づく作品を撮った。「死の棘」はカンヌ映画祭で審査員グランプリを獲得した。

 予告編(Amazon)→
  • 「遠雷」
  • 「陽炎座」
  • 「駅/STATION」
  • 「鳴呼!おんなたち 猥歌」
  • 「幸福」
  • 「ガキ帝国」
  • 「北斎漫画」
  • 「ええじゃないか」
  • 「近頃なぜかチャールストン」
1980 「ツィゴイネルワイゼン」

ツィゴイネルワイゼン

 監督:鈴木清順

 予告編(Amazon)→
  • 「影武者」
  • 「ヒポクラテスたち」
  • 「神様のくれた赤ん坊」
  • 「遙かなる山の呼び声」
  • 「父よ母よ!」
  • 「四季・奈津子」
  • 「海潮音」
  • 「狂い咲きサンダーロード」
  • 「太陽の子 てだのふあ」

1970年代

1970年(第44回)~1979年(第53回)

79年 | 78年 | 77年 | 76年 | 75年 | 74年 | 73年 | 72年 | 71年 | 70年 | 

1980年代↑ | 1970年代 | 1960年代↓

1位(作品賞) 2~10位
1979 「復讐するは我にあり」

復讐するは我にあり

 監督:今村昌平

 Amazon→
  • 「太陽を盗んだ男」
  • 「Keiko」
  • 「赫い髪の女」
  • 「衝動殺人 息子よ」
  • 「月山」
  • 「十九歳の地図」
  • 「もう頬づえはつかない」
  • 「あゝ野麦峠」
  • 「その後の仁義なき戦い」
1978 「サード」

サード

 監督:東陽一

 予告編(Amazon)→
  • 「曽根崎心中」
  • 「愛の亡霊」
  • 「事件」
  • 「帰らざる日々」
  • 「鬼畜」
  • 「ダイナマイトどんどん」
  • 「冬の華」
  • 「人妻集団暴行致死事件」
  • 「博多っ子純情」
1977 「幸福の黄色いハンカチ」

幸福の黄色いハンカチ

 監督:山田洋次

 予告編(Amazon)→
  • 「竹山ひとり旅」
  • 「はなれ瞽女おりん」
  • 「八甲田山」
  • 「青春の門 自立篇」
  • 「悪魔の手毬唄」
  • 「ねむの木の詩がきこえる」
  • 「ボクサー」
  • 「突然、嵐のように」
  • 「遠い一本の道」
1976 「青春の殺人者」

青春の殺人者

 監督:長谷川和彦

 予告編(Amazon)→
  • 「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」
  • 「大地の子守歌」
  • 「不毛地帯」
  • 「犬神家の一族」
  • 「あにいもうと」
  • 「嗚呼!!花の応援団」
  • 「やくざの墓場 くちなしの花」
  • 「さらば夏の光よ」
  • 「江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者」
1975 「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」

ある映画監督の生涯 溝口健二の記録

 監督:新藤兼人

 Amazon→
  • 「祭りの準備」
  • 「金環蝕」
  • 「化石」
  • 「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」
  • 「田園に死す」
  • 「新幹線大爆破」
  • 「仁義の墓場」
  • 「同胞 はらから」
  • 「実録阿部定」
1974 「サンダカン八番娼館 望郷」

サンダカン八番娼館 望郷

 監督:熊井啓

 予告編(Amazon)→
  • 「砂の器」
  • 「華麗なる一族」
  • 「青春の蹉跌」
  • 「竜馬暗殺」
  • 「わが道」
  • 「仁義なき戦い 頂上作戦」
  • 「襤褸の旗」
  • 「赤ちょうちん」
  • 「妹」
1973 「津軽じょんがら節」

津軽じょんがら節

 監督:斎藤耕一

 予告編(Amazon)→
  • 「仁義なき戦い」
  • 「青幻記 遠い日の母は美しく」
  • 「股旅」
  • 「恍惚の人」
  • 「四畳半襖の裏張り」
  • 「戒厳令」
  • 「仁義なき戦い 代理戦争」
  • 「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」
  • 「戦争と人間 完結篇」
1972 「忍ぶ川」

忍ぶ川

 監督:熊井啓

 Amazon→
  • 「軍旗はためく下に」
  • 「故郷」
  • 「旅の重さ」
  • 「約束」
  • 「男はつらいよ 柴又慕情」
  • 「海軍特別年少兵」
  • 「一条さゆり 濡れた欲情」
  • 「サマー・ソルジャー」
  • 「白い指の戯れ」
1971 「儀式」

儀式

 監督:大島渚

 Amazon→
  • 「沈黙」
  • 「婉という女」
  • 「戦争と人間 第二部・愛と悲しみの山河」
  • 「いのちぼうにふろう」
  • 「真剣勝負」
  • 「やさしいにっぽん人」
  • 「男はつらいよ 寅次郎恋歌」
  • 「書を捨てよ町へ出よう」
  • 「八月の濡れた砂」
1970 「家族」

家族

 監督:山田洋次

 予告編(Amazon)→
  • 「戦争と人間」
  • 「どですかでん」
  • 「エロス+虐殺」
  • 「地の群れ」
  • 「無常」
  • 「影の車」
  • 「男はつらいよ 望郷篇」
  • 「橋のない川 第二部」
  • 「裸の十九才」

1960年代

1960年(第34回)~1969年(第43回)

69年 | 68年 | 67年 | 66年 | 65年 | 64年 | 63年 | 62年 | 61年 | 60年 | 

1970年代↑ | 1960年代 | 1950年代↓

1位(作品賞) 2~10位
1969 心中天網島

 監督:篠田正浩
  • 「私が棄てた女」
  • 「少年」
  • 「かげろう」
  • 「橋のない川」
  • 「男はつらいよ」
  • 「ベトナム」
  • 「新宿泥棒日記」
  • 「続男はつらいよ」
  • 「風林火山」
1968 神々の深き欲望

 監督:今村昌平
  • 「肉弾」
  • 「絞死刑」
  • 「黒部の太陽」
  • 「首」
  • 「初恋・地獄篇」
  • 「日本の青春」
  • 「燃えつきた地図」
  • 「人生劇場 飛車角と吉良常」
  • 「吹けば飛ぶよな男だが」
1967 上意討ち 拝領妻始末

 監督:小林正樹
  • 「人間蒸発」
  • 「日本のいちばん長い」
  • 「乱れ雲」
  • 「華岡青洲の妻」
  • 「智恵子抄」
  • 「愛の渇き」
  • 「あかね雲」
  • 「なつかしき笛や太鼓」
  • 「忍者武芸帳」
1966 白い巨塔

 監督:山本薩夫
  • 「“エロ事師たち”より 人類学入門」
  • 「紀ノ川」
  • 「湖の琴」
  • 「他人の顔」
  • 「アンデスの花」
  • 「本能」
  • 「こころの山脈」
  • 「白昼の通り魔」
  • 「女の中にいる他人」
1965 赤ひげ

 監督:黒澤明
  • 「東京オリンピック」
  • 「日本列島」
  • 「にっぽん泥棒物語」
  • 「証人の椅子」
  • 「冷飯とおさんとちゃん」
  • 「恐山の女」
  • 「ブワナ・トシの歌」
  • 「悪党」
  • 「水で書かれた物語」
1964 砂の女

 監督:勅使河原宏
  • 「怪談」
  • 「香華」
  • 「赤い殺意」
  • 「飢餓海峡」
  • 「越後つついし親不知」
  • 「傷だらけの山河」
  • 「甘い汗」
  • 「仇討」
  • 「われ一粒の麦なれど」
1963 にっぽん昆虫記

 監督:今村昌平
  • 「天国と地獄」
  • 「五番町夕霧楼」
  • 「太平洋ひとりぼっち」
  • 「武士道残酷物語」
  • 「しとやかな獣」
  • 「彼女と彼」
  • 「母」
  • 「白と黒」
  • 「非行少女」
1962 私は二歳

 監督:市川崑
  • 「キューポラのある街」
  • 「切腹」
  • 「破戒」
  • 「椿三十郎」
  • 「人間」
  • 「おとし穴」
  • 「秋刀魚の味」
  • 「喜劇 にっぽんのお婆あちゃん」
  • 「秋津温泉」
1961 不良少年

 監督:羽仁進
  • 「用心棒」
  • 「永遠の人」
  • 「人間の條件 完結篇」
  • 「名もなく貧しく美しく」
  • 「反逆児」
  • 「あれが港の灯だ」
  • 「はだかっ子」
  • 「飼育」
  • 「黒い十人の女」
1960 おとうと

 監督:市川崑
  • 「黒い画集 あるサラリーマンの証言」
  • 「悪い奴ほどよく眠る」
  • 「笛吹川」
  • 「秋日和」
  • 「裸の島」
  • 「豚と軍艦」
  • 「武器なき斗い」
  • 「秘境ヒマラヤ」
  • 「日本の夜と霧」

1950年代

1950年(第24回)~1959年(第33回)

59年 | 58年 | 57年 | 56年 | 55年 | 54年 | 53年 | 52年 | 51年 | 50年 | 

1960年代↑ | 1950年代 | 1940年代↓

1位(作品賞) 2~10位
1959 キクとイサム

 監督:今井正
  • 「野火」
  • 「にあんちゃん」
  • 「荷車の歌」
  • 「人間の條件 第1・2部」
  • 「人間の壁」
  • 「浪花の恋の物語」
  • 「第五福竜丸」
  • 「鍵」
  • 「人間の條件 第3・4部」
1958 楢山節考

 監督:木下恵介
  • 「隠し砦の三悪人」
  • 「彼岸花」
  • 「炎上」
  • 「裸の太陽」
  • 「夜の鼓」
  • 「無法松の一生」
  • 「張込み」
  • 「裸の大将」
  • 「巨人と玩具」
1957

 監督:今井正
  • 「純愛物語」
  • 「喜びも悲しみも幾歳月」
  • 「蜘蛛巣城」
  • 「幕末太陽傳」
  • 「気違い部落」
  • 「どたんば」
  • 「爆音と大地」
  • 「異母兄弟」
  • 「どん底」
1956 真昼の暗黒

 監督:今井正
  • 「夜の河」
  • 「カラコルム・ヒンズークシ学術探検記録 カラコルム」
  • 「猫と庄造と二人のをんな」
  • 「ビルマの竪琴」
  • 「早春」
  • 「台風騒動記」
  • 「流れる」
  • 「太陽とバラ」
  • 「あなた買います」
1955 浮雲

 監督:成瀬巳喜男
  • 「夫婦善哉」
  • 「野菊の如き君なりき」
  • 「生きものの記録」
  • 「ここに泉あり」
  • 「警察日記」
  • 「女中ッ子」
  • 「血槍富士」
  • 「市川馬五郎一座顛末記 浮草日記」
  • 「美女と怪龍」
1954 二十四の瞳

 監督:木下恵介
  • 「女の園」
  • 「七人の侍」
  • 「黒い潮」
  • 「近松物語」
  • 「山の音」
  • 「晩菊」
  • 「勲章」
  • 「山椒大夫」
  • 「大阪の宿」
1953 にごりえ

 監督:今井正
  • 「東京物語」
  • 「雨月物語」
  • 「煙突の見える場所」
  • 「あにいもうと」
  • 「日本の悲劇」
  • 「ひめゆりの塔」
  • 「雁」
  • 「祇園囃子」
  • 「縮図」
1952 生きる

 監督:黒澤明
  • 「稲妻」
  • 「本日休診」
  • 「現代人」
  • 「カルメン純情す」
  • 「真空地帯」
  • 「おかあさん」
  • 「山びこ学校」
  • 「西鶴一代女」
  • 「慟哭」
1951 麦秋

 監督:小津安二郎
  • 「めし」
  • 「偽れる盛装」
  • 「カルメン故郷に帰る」
  • 「どっこい生きてる」
  • 「風雪二十年」
  • 「源氏物語」
  • 「あゝ青春」
  • 「命美わし」
  • 「愛妻物語」
1950 また逢う日まで

 監督:今井正
  • 「帰郷」
  • 「暁の脱走」
  • 「執行猶予」
  • 「羅生門」
  • 「醜聞」
  • 「宗方姉妹」
  • 「暴力の街」
  • 「細雪」
  • 「七色の花」

1940年代

1940年(第17回)~1949年(第23回)

49年 | 48年 | 47年 | 46年 | 45年 | 44年 | 43年 | 42年 | 41年 | 40年 | 

1950年代↑ | 1940年代 | 1930年代↓

1位(作品賞) 2~10位
1949 晩春

 監督:小津安二郎
  • 「青い山脈」
  • 「野良犬」
  • 「破れ太鼓」
  • 「忘れられた子等」
  • 「お嬢さん乾杯!」
  • 「女の一生」
  • 「静かなる決闘」
  • 「森の石松」
  • 「小原庄助さん」
1948 酔いどれ天使

 監督:黒澤明
  • 「手をつなぐ子等」
  • 「夜の女たち」
  • 「蜂の巣の子供たち」
  • 「わが生涯のかがやける日」
  • 「破戒」
  • 「風の中の牝鶏」
  • 「王将」
  • 「生きている画像」
  • 「第二の人生」
1947 安城家の舞踏会

 監督:吉村公三郎
  • 「戦争と平和」
  • 「今ひとたびの」
  • 「長屋紳士録」
  • 「女優」
  • 「素晴らしき日曜日」
  • 「銀嶺の果て」
  • 「四つの恋の物語」
  • 「花咲く家族」
  • 「幸福への招待」
1946 大曽根家の朝

 監督:木下恵介
  • 「わが青春に悔なし」
  • 「或る夜の殿様」
  • 「待ちぼうけの女」
  • 「わが恋せし乙女」
  • 「民衆の敵」
  • 「歌麿をめぐる五人の女」
  • 「命ある限り」
1945 戦争で中止 戦争で中止
1944 戦争で中止 戦争で中止
1943 戦争で中止 戦争で中止
1942 ハワイ・マレー沖海戦

 監督:山本嘉次郎
  • 「父ありき」
  • 「将軍と参謀と兵」
  • 「母子草」
  • 「南海の花束」
  • 「新雪」
  • 「元禄忠臣蔵 後篇」
  • 「獨眼龍政宗」
  • 「大村益次郎」
  • 「香港攻略 英國崩るゝの日」
1941 戸田家の兄妹

 監督:小津安二郎
  • 「馬」
  • 「みかへりの塔」
  • 「芸道一代男」
  • 「江戸最後の日」
  • 「次郎物語」
  • 「愛の一家」
  • 「海を渡る祭礼」
  • 「舞ひ上る情熱」
  • 「指導物語」
1940 小島の春

 監督:豊田四郎
  • 「西住戦車長伝」
  • 「風の又三郎」
  • 「浪花女」
  • 「沃土万里」
  • 「奥村五百子」
  • 「歴史」
  • 「燃ゆる大空」
  • 「夫婦二世」
  • 「木石」

1930年代

1930年(第7回)~1939年(第16回)

39年 | 38年 | 37年 | 36年 | 35年 | 34年 | 33年 | 32年 | 31年 | 30年 | 

1940年代↑ | 1930年代 | 1920年代↓

1位(作品賞) 2~10位
1939

 監督:内田吐夢
  • 「残菊物語」
  • 「土と兵隊」
  • 「兄とその妹」
  • 「上海陸戦隊」
  • 「子供の四季 春夏の巻」
  • 「暖流」
  • 「爆音」
  • 「花ある雑草」
  • 「海援隊」
1938 五人の斥候兵

 監督:田坂具隆
  • 「路傍の石」
  • 「母と子」
  • 「上海 支那事変後方記録」
  • 「綴方教室」
  • 「鶯」
  • 「泣虫小僧」
  • 「阿部一族」
  • 「あゝ故郷」
  • 「太陽の子」
1937 限りなき前進

 監督:内田吐夢
  • 「蒼氓」
  • 「愛怨峡」
  • 「風の中の子供」
  • 「裸の町」
  • 「若い人」
  • 「人情紙風船」
  • 「淑女は何を忘れたか」
  • 「大阪夏の陣」
  • 「浅草の灯」
1936 祇園の姉妹

 監督:溝口健二
  • 「人生劇場 青春篇」
  • 「浪華悲歌」
  • 「一人息子」
  • 「赤西蛎太」
  • 「家族会議」
  • 「兄いもうと」
  • 「彦六大いに笑ふ」
  • 「情熱の詩人啄木 ふるさと篇」
  • 「秘境熱河」
1935 妻よ薔薇のやうに

 監督:成瀬巳喜男
  • 「街の入墨者」
  • 「お琴と佐助」
  • 「忠次売出す」
  • 「国定忠治」
  • 「人生のお荷物」
  • 「この子捨てざれば」
  • 「噂の娘」
  • 「東京の宿」
  • 「雪之丞変化」
1934 浮草物語

 監督:小津安二郎
  • 「隣の八重ちゃん」
  • 「生きとし生けるもの」
  • 「武士大鑑」
  • 「風流活人剣」
  • 「北進日本」
  • 「その夜の女」
  • 「一本刀土俵入」
  • 「霧笛」
  • 「雁太郎街道」
1933 出来ごころ

 監督:小津安二郎
  • 「瀧の白糸」
  • 「夜ごとの夢」
  • 「二つ燈籠」
  • 「君と別れて」
  • 「丹下左膳 第一篇」
  • 「盤獄の一生」
  • 「鼠小僧次郎吉 再び江戸の巻」
  • 「伊豆の踊子」
  • 「堀田隼人」
  • 「鯉名の銀平」
1932 大人の見る繪本 生れてはみたけれど

 監督:小津安二郎
  • 「嵐の中の処女」
  • 「忠臣蔵」
  • 「御誂次郎吉格子」
  • 「弥太郎笠 去来の巻」
  • 「國士無双」
  • 「蝕める春」
  • 「白夜の饗宴」
  • 「春と娘」
  • 「磯の源太 抱寝の長脇差」
  • 「上陸第一歩」
1931 マダムと女房

 監督:五所平之助
  • 「心の日月(烈日篇 月光篇)」
  • 「東京の合唱」
  • 「一本刀土俵入」
  • 「舶来文明街」
  • 「仇討選手」
  • 「何が彼女を殺したか」
  • 「牢獄の花嫁」
  • 「続大岡政談(魔像解決篇)」
  • 「生活線ABC(全篇)」
1930 <日本・現代映画>

何が彼女をさうさせたか

 監督:鈴木重吉
  • 「若者よなぜ泣くか」
  • 「お嬢さん」
<日本・時代映画>

続大岡政談 魔像篇第一

 監督:伊藤大輔
  • 「旋風時代」
  • 「素浪人忠弥」

1920年代

1926年(第3回)~1929年(第6回)

29年 | 28年 | 27年 | 26年 | 

1930年代↑ | 1920年代

1位(作品賞) 2~10位
1929 首の座

 監督:マキノ正博
  • 「灰燼」
  • 「浪人街 第三話 憑かれた人々」
  • 「生ける人形」
  • 「摩天楼 争闘篇」
  • 「斬人斬馬劔」
  • 「パイプの三吉」
  • 「無理矢理三千石」
  • 「大都会 労働篇」
  • 「都会交響楽」
1928 浪人街 第一話 美しき獲物

 監督:マキノ正博
  • 「陸の王者」
  • 「新版大岡政談」
  • 「崇禅寺馬場」
  • 「彼と東京」
  • 「村の花嫁」
  • 「蹴合鶏」
  • 「結婚二重奏」
  • 「平手造酒」
  • 「血煙高田馬場」
1927 忠次旅日記 第二部 信州血笑篇

 監督:伊藤大輔
  • 「彼を繞る五人の女」
  • 「尊王攘夷」
  • 「忠次旅日記 第三部 御用篇」
  • 「海の勇者」
  • 「からくり娘」
  • 「慈悲心鳥」
  • 「悪魔の星の下に」
  • 「下郎」
  • 「道中悲記」
1926 足にさはった女

 監督:阿部豊
  • 「日輪」
  • 「陸の人魚」
  • 「狂った一頁」
  • 「カラボタン」
  • 「受難華」
  • 「紙人形の春の囁き」
  • 「転落」
  • 「水戸黄門」
  • 「蜘蛛」